ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

沖縄知事選の結果

2018-10-01 23:33:19 | 徒然の記

 沖縄知事選挙の結果を、じっと眺めております。

 投票率 63.24% で、玉城デニー氏の得票が 39万6632票、佐喜真淳氏が 31万 6458票でした。玉城氏の得票が、佐喜真氏を8万票上回っています。

  翁長氏の弔い合戦だったため、保守に不利だったと、そういう意見もありますが、負けは負けです。民主主義の政治は、数字が事実を語るのですから、これが沖縄の民意です。「辺野古への基地移転反対。」「沖縄の基地全てに反対。」この意見に、住民の多数が賛成したということになります。

 しかし私には、納得できないことがあります。マスコミが騒ぐように、果たして玉城氏は圧勝しているのか、という点です。佐喜真氏の票差8万票は、惨敗と言われる数字なのか。私には、どうもそういう風に受け取れません。この数字が語っているのは、依然として沖縄の民意が二つに分かれ、勢力は拮抗していると、そう思えてなりません。

 人間関係の濃密な沖縄では、長い間反日思想が支配し、左翼議員が我が物顔で跋扈し、過激派の活動家たちが、無法とも言える運動を展開していました。無理に反対すれば、家族が巻き添えになるから、一般住民の多くは、「触らぬ神に祟りなし」と、意思表示をしなかったのではないでしょうか。

 「政治に無関心でいることは、沖縄を大切にしないことです。」「黙っていては、沖縄は変わりません。」「間違っている意見には、はっきりノーと言いましよう。」

 おそらく住民は復帰以来、左右両陣営の政治家たちから、同じことを言われ続けてきたのではないでしょうか。私のように、近所づき合いのない土地に住み、誰が何党を支持しているのかも知らぬまま、呑気に暮らしていけるのなら別でしょうが、何か意思表示をせずに居れないとしたら、どうすれば良いのか。

 自分がもし、沖縄の環境で暮らす住民の一人でしたら、家族の無事を第一に考えます。右に投票せよ、左に入れよと、権柄づくで押しかける人間を、どちらも敬遠すると思います。家族の平和と無事が確認されれば、右でも左でも、黙って投票するか、棄権するかします。過激な活動家は、子供でも老人でも、かまわず脅しますから、争いを避けようと思えば、関わらないのが一番です。まして沖縄の警察は、無謀な活動家たちから嫌がらせを受けても、暴力で脅されても、住民を守ってくれません。

 見て見ぬ振りをする警察ですから、沖縄の未来より、目の前の家族の無事が優先すると、そう考える人々を、私は冷笑したり軽蔑したりいたしません。それが一般の人間であり、庶民です。

 今から4年前の、平成26年の知事選では、翁長氏が 36万 820票で、仲井真氏が 26万 1076票、その差は約10万票でした。当時も選挙の争点は同じで、「辺野古への基地移転反対。」「沖縄の基地全てに反対。」です。相変わらず、激しい選挙戦で、保守と左翼が金をつぎ込み、党の幹部を派遣し、騒々しい運動を展開しています。

 しかしどうでしょう、4年前の選挙では、保守の仲井真氏は、翁長氏に10万票の差で敗れています。得票数は26万票でしたから、佐喜真氏は今回、仲井真氏の時より5万票多く獲得しています。デニー氏が衆議院議員として、沖縄で知名度が高かった点を考慮しますと、佐喜真氏は、善戦したと言えるのではないでしょうか。

 町や村が市になるには、住民数4万人以上が条件だと言いますから、佐喜真氏の獲得した5万人の票数は、一つの市の住民を手にしたことに相当します。厳しい沖縄の政治風土の中で、佐喜真氏を支持する住民が増えた事実の方に、私は注目致します。4年もかけて、たった5万人の増加かと、そんな受け止め方は間違っています。

 本土の犠牲となり、基地を押しつけられ、辛い思いをしてきたと、戦後73年間も、本土への反感だけを植えつけてきた、沖縄のマスコミや、政治家たちのプロパガンダを思えば、数字の受け止め方は違ってきます。

 「4年もかけて、たった5万人の増加か」でなく、「たった4年間で、5万人も増加したのか」という話になります。この4年間に、本土の保守自民党や、政権入りをしている公明党は、沖縄の住民に対し、どのような働きかけをしていたのでしょう。

 「自民党は、金さえ出せば、沖縄の人間を黙らせられると思っている。」「沖縄の開発に予算を回すといっても、」「工事で儲けているのは本土の企業ばかりで、保守政治家は、」「受注した企業から、バックマージンを受け取っている。」

 これは、私が耳にしている、左翼系住民の批判です。真偽を確認できませんが、自民党の政治家がやりそうなことです。左翼の活動家がこれを宣伝すれば、住民の心は自民党や公明党から離れていきます。

 「翁長知事は、政府からの補助金を、住民のために使わず、」「反日左翼の団体に、活動費としてばらまいている。」「国民の税金を、県政のためでなく、」「活動家の資金として浪費している。」

 保守系の人間の批判も、耳にしています。那覇市の巨大な龍柱や、孔子廟の建設など、親中政策に予算を使っており、これはこれで保守住民の反発を呼びます。こうして沖縄は、住民一般を置き去りに、左右の活動家と政治家が、ののしりあいながら政治をしてきました。

 保守を任ずる人間の一人として、私は、保守自民党の政治家の努力不足と、誠意の足りなさを恥じています。選挙の時だけ、騒ぎますが、地道な日常活動に、彼らが汗を流したという話を、聞いたことがありません。政権党の議員として、派手なパフォーマンスで沖縄を訪れるのでなく、物言わぬ一般住民への働きかけをしなくて、どうするのでしょう。

 自民党の議員諸氏に対する、私の疑問は、「左翼議員に比べると、彼らは、日常活動に汗を流さない。」というものです。反日左翼議員と嫌悪していますが、彼らの日常活動のきめ細かさには、熱意があります。個人のポストへチラシを投函したり、市政報告や県政報告をしたり、地域住民の不平や不満に向き合っています。

 自民党議員のやっていることといえば、冠婚葬祭に顔出して挨拶をしたり、行事で来賓として挨拶したり、旧態然とした売名だけです。まして沖縄では、こんなことでは住民に相手にされません。

 「たった4年間で、5万人も保守層が増加した」のは、自民党や公明党議員の力でなく、我那覇雅子さん一家と、これを支援する住民たちの活動の成果でないかと、私は見ております。最近は、「世直し、自分直し活動」を開始し、彼女たち一家と支援者たちは、わずかな人数で、沖縄の偏向マスコミへ戦いを挑み、沖縄全土でのミニ対話集会を開き、啓蒙活動をしています。

 「私たちは、これから、新しい試みをします、」「それは、この赤い沖縄、反日・左翼の島と思われている、沖縄から、」「憲法改正の声を上げていくことです。」「いつか、それを要望書にして、東京の政府に、議員の先生に、」「官房長官、いえ、安倍総理に手渡したいと、思っています。」

 何時だったか、動画で聞いた彼女の言葉ですが、こうした活動の積み重ねが、少しずつ沖縄を変えていると、私は、今回の知事選の数字を見て感じました。悲観的な意見が多い中で、私は逆に希望の光を見ました。

 自民党がやるべきことは、沖縄の左翼活動家の批判が誤解であるなら、それを解く活動をし、事実であるのなら、利権政治を改めること・・だと思います。利権政治へ傾いているから、反日・左翼議員のプロパガンダに負けるのです。保守自民党は、もっと真面目に、謙虚にならなくてはいけません。我那覇さん一家を真似、静かな汗を掻くことをお勧めします。

 

コメント (2)
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