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小森江駅前の不思議なもの

2018年03月16日 | 鉄道
小森江駅前の不思議なもの

 昨年12月25日付の投稿で、門司港駅近くのロープウェイ跡のことを記した。それを見に行ったのは11月1日だったが、その帰りに、鹿児島本線の電車内から不思議なものを見たので、暖かくなった14日に見に行ってきた。
 「不思議なもの」は、小森江駅の入口の北側にある広い駐車場の中にある、二つのコンクリート製の構造物である。鹿児島本線は、ここではほあって、その中に円筒形の鉄製のものが立っている。

1 球形に付属する鉄製のもの 2018.3.14 小森江

 もう一つは、そこから50メートルほど北に行ったところにある低いかまぼこ型のもの(以下「かまぼこ」と記す)。かまぼこの延長方向はほぼ南北に一致している。長さ14メートルぐらい。幅はやや短く12メートルほど。高さはやや低くて4メートルぐらいだろうか。なお鹿児島本線は、ここではほぼ南北方向だが、少し(15度ぐらい)時計回りに振れている。だからかまぼこの方位は鹿児島本線とは異なる。また、「かまぼこ」の方位の延長上に「中華鍋」があるわけではない。

2 かまぼこ型のもの 2018.3.14 小森江

 南の端面に大きな鉄製のドアと、ビルに室外機を付けるようなやはり鉄製の棚が見られる。

3 かまぼこのドア 2018.3.14 小森江

 ドアの下の高さは少し駐車場平面より低い位置にあり、施錠されている。棚はドアより高い位置にあるから、そこにたどり着けるように写真右側から上面に足場が鉄で作ってある。両方ともひどく錆びている。棚の部分には、なにか気流があるらしく、唸るような音がしていて時々その音が大きくなる。トンネルの空調と関係があるかとも考えたが、それにしては気流が少なすぎる。補助的なものかもしれない。ドアが低い位置にあるのは、駐車場の面までかさ上げしたせいだろう。また、北西の隅あたりの表面にコンクリートの足がかりが15個ほど(14個は出っ張り、1個は凹み)作ってあって上に登ることができそうである。それにしてもなぜこんなに不規則なんだろう?

4 これを踏めば登れるかな? 2018.3.14 小森江

 ネットで調べると、これらの構造物は関門トンネルの建設時に掘った立坑の名残で、現在も保守に使われているという。かまぼこの延長方向は、確かに地形図などに表示してある関門トンネルの方向と一致する。かまぼこの西端のラインが下り線トンネルの東に沿うような位置。
 トンネルの掘削の時、下関側と門司側の坑口のほか、途中に立坑や斜坑を5か所掘っている(他に試掘立坑が2か所)。門司側では、下り線の門司側では「門司方立坑」があって、これが「かまぼこ」だろう。上り線では海岸に「門司方第二立坑」、350メートル門司方に離れて「門司方第一立坑」の二つがあって、後者が「中華鍋」にあたるようだ。このあたりで、線路は地表下20メートルあたりにある。では、「門司方第二立坑」の跡は残っているだろうか?Googleで見たところでは「中華鍋」から350メートル下関側に行ったあたりはニッカウヰスキー門司工場敷地内で、何もなさそう。
 関門鉄道トンネルは1942年に試運転列車が初めて下り線を通過した。上り線は2年ほど遅れて開通した。当初から直流電化されていたから、空調は比較的小さなシステムでよかったはず。
 記すに当たって、トンネルの工事については、Wikipedia「関門トンネル(山陽本線)」から抜き出した。また、構造物の平面上の大きさや距離に関しては「ちょっと便利帳-地図上で2点間の直線距離を測る-」を使った。
Keywords: Kanmon-tunnel Komorie Moji 関門トンネル 小森江 門司

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