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父の遺した写真 35 無蓋車

2017年02月25日 | 鉄道
父の遺した写真 35 無蓋車

 父が撮影したのは社会科教材だったから、鉄道車両の写真は多くない。それでもいろいろな種類の車両が写っている。貨車から見ていこう。

35-1 無蓋車 東海道本線根府川駅 1956.11.2

 根府川石は箱根火山の溶岩で、板状の節理が発達していて薄板のような石材が出荷される。写真はホームから北を向いて撮ったものだろう。貨車は屋根のない無蓋車(車両記号ト)で、この様子だとあまり梱包もしないで内部に積んだのだろうか。ボギー車(回転する台車のある車両)ではなくて固定軸の短い貨車である。構造が簡単だが、高速運転やカーブの通過速度に制限があるので、後にはあまり使われなくなった。

35-2 無蓋車二両 東海道本線清水駅 1960.3.22

 左の無蓋車は、車両記号「トム」右のは「トキ」と表示されている。前の文字「ト」は無蓋車の意味でtruckに由来する。後の文字は荷重を区別するものでム・ラ・サ・キの順で大きくなる。「ム」は14トンから16トン、「ラ」は17から19トンの積載量を示す。後にはタンク車「タ」や有蓋車「ワ」も見える。撮影場所は清水駅で、清水港で船便とのやりとりをする貨車であろう。後の工場は東亜燃料である。清水駅から東に向かって撮影したもの。

35-3 鋳物砂の運搬 武豊線武豊駅 日時不明

 知多半島の野間と河和の間の丘陵地に産する砂を、鋳物に用いるため搬出しているところ。「野間砂」とか「知多珪砂」として売られていた。後には海砂も使われたという。この搬出風景を見ると、砂を貨車に直接入れていたのだろうか。

35-4 近江鉄道の無蓋車 東海道線彦根駅 1958.8.27

 近江鉄道の貨物運送は1988年に終了した。この貨車の車両記号は単に「ト」と記してある。国鉄の記号では、重量のランクを示す記号がないのは、荷重13トン以下ということになるが、この無蓋車は所属が近江鉄道なので、別のルールがあるかも知れない。いずれにしてもずいぶん小さい貨車である。近江鉄道の無蓋車に関連する輸送として、野沢セメント(現・住友セメント)の石灰石原石の輸送が考えられる。後の山にあるがけが、野沢石綿セメントの彦根工場であるが、1996年に閉鎖し、現在その場所は住宅街になっている。
 写真の転載はご遠慮いただきたい。


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