音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■平均律第 2巻 18番は、その時代を突き抜け、はるか先の世界を見据えていた■

2014-08-05 19:32:17 | ■私のアナリーゼ講座■

■中村洋子 Bach 平均律クラヴィーア曲集第2巻 アナリーゼ講座

Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅱ   Analysis
  「 第 18番  嬰ト短調   No. 18  gis-Moll  Prelude & Fuga 」
~18番は、その時代を突き抜け、はるか先の世界の音楽を見据えていた ~

              2014.8.5 中村洋子

 

 

★「 平均律 第 1巻」 から 「  Invention & Sinfonia 」 、

「 平均律 第 2巻 」  の順で、Bach は、3つの曲集を完成しました。

これらは、壮大な  “ 一つの曲集 ”  として、

連関させながら、同時に学ぶべきものであると、思います

 

★例えば、平均律 1巻と 2巻の、「 第 17番  As-Dur 」 と、

「 第 18番  gis-Moll 」 の双方を、同時に勉強いたしますと、

Bach の作曲意図がくっきりと炙り出されてきます。

「 Invention 」 には、この二つの調は存在しませんが、

最も緊密な関係にある調の曲を、ピックアップし、

併せて学びますと、その作曲意図が、

より一層、明確になってくるのです。

 

Bach の 「 自筆譜 」 は、平均律 第 1巻 がほぼ  1ページ 6段、

第 2巻 は、基本的に 1ページ 7段 です。

ところが、この 第 18番 からは 「 8段 」 が、

混在するようになります。

凝縮度が、増してきているのです。

第 18番は、最後の “ 全力疾走 ” の出発点ともいえます。

 

 

 

 

18番は、異名同主調の 「17番  As-Dur 」 と、

深く関連づけて、作曲されています。

例えば、17番  Fuga の 26、27小節と、

18番  Prelude の 26、27小節は、

同じモティーフが、使われています。

屏風の、右と左のような関係です。

 

18番  Prelude には、Bach 自身による、

piano  と forte  の記載があります。

 これは、「 Concerto nach Italienischen Gusto

イタリア協奏曲 」 で、

Bach が記していたことを、思い起こさせます。

 

18番  Fuga の方は、ほぼ 8分音符で淡々と進むと、

見せかけていますが、

Subject に対して、当然あるべき Counter-subject がなかったり、

あるいは、 Subject が、あるべきところになく、

Counter-subject のみであるなど、意表を突く手法です。

これは、極めて  “ 新しい ”  のです。

Bach の眼は既に、その時代を突き抜け、

はるか先の世界の、音楽を見据えていたのです。

 

★その 「 新しさ 」 と 「 新しさの起源 」 を、

講座では、詳しくご説明いたします。

 

 

 

 

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■日  時 :  2014年 9月 9日(火) 午前 10時 ~ 12時 30分

 

■会  場 :  カワイ表参道  2F コンサートサロン・パウゼ

 

■予  約 :   Tel. 03 - 3409 - 1958

 

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■今後のスケジュール           各回: 10:00 - 12:30

 ・第 16回  10/9(木)       第19番 イ長調 

 ・第 17回  11/25(火)    第20番 イ短調 

 ・第 18回  12/18(木)    第21番 変ロ長調

 ・第 19回  1/22(木)     第22番 変ロ短調

・第 20回  2/17(火)     第23番 ロ長調

・第 21回  3/10(火)     第24番 ロ短調

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

  2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

  07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

  08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

  08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

  09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版

          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

  10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

  10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

  11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

  12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

  13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

 

 

 

★上記の 楽譜 & CDは、

「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  

「アカデミア・ミュージック 」

 https://www.academia-music.com/    で販売中

 

  ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

  ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

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