■Mozart の誕生日、KV.485「Rondo」自筆譜■
2016.2.2 中村洋子
★2月に入りました。
寒いですね、震えながらも多忙な毎日です。
1月27日は Wolfgang Amadeus Mozart
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791)の誕生日でした。
★最近は、Mozart の 「Manuscript Autograph 自筆譜 」を
Facsimileで見ることが出来る曲を、重点的に勉強しております。
例えば、ピアノのためのKV.485 「Rondo D-Dur」は、
Wiener Urtext Edition+Faksimile
(Schott/ Universal Edition) に、
自筆譜のFaksimileが、添付されています。
(日本で購入できます、いわゆるウィーン原典版には、
Faksimileは付いていません、輸入版の UT 51022です)
★この自筆譜Facsimileを見ることができることは、
計り知れないほど、有益です。
Bach の「Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集」
「Inventionen und Sinfonien インヴェンションとシンフォニア」を
勉強した後に、Mozart の自筆譜を見ますと、以下のことが、
明瞭に認識できるのです。
★Mozart もBach と同様、 soprano、 alto、tenor、bass という
四声の、どの声部に音を配置すべきかを、まず考え、
そして作曲を進めていくという手法、
それを解明していくことが、Mozart を
理解することになります。
★例えば、KV.485 「Rondo D-Dur」の第1小節目は、
左手声部が「ヘ音記号(バス記号)」ではなく、
「ト音記号」で、書かれています。
ということは、この第1小節目左手の開始音「d¹ fis¹」は、
bass と tenor ではなく、この場合、tenor と alto と
見るべきでしょう。
★第1小節目は、bass 不在ということになります。
Mozart には、たくさんの室内楽曲があります。
そうした曲で、tenor と alto がどういう役割を担っているか、
それを勉強いたしますと、このKV.485 「Rondo D-Dur」を
どう弾くか、音色、アーティキュレーションを決定するうえでも
大変に参考になると、思います。
★ヴォルフガング・ベッチャー先生が昨年、
チャイコフスキーコンクールの審査員をなさっていた折、
先生がインタビューされたYouTubeがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=2gEyNPFxh88
気さくなお人柄がにじみ出ています。
★かつて先生が、カラヤン指揮のベルリンフィルのメンバーとして、
1969年、当時のソビエトを訪問したときのお話などをされています。
Dmitri Shostakovich ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906- 1975)
の No.10 Symphony を、ショスタコーヴィチの前で演奏し、
彼が感激して、分厚い眼鏡の奥から涙を流し、
会いに来てくれた思い出などを、
優しく包み込むようにお話されています。
★ロシアといえば、大ヴァイオリニスト David Oistrakh
ダヴィッド・オイストラフ(1908-1974)との残念な思い出も、
先生から、何度もうかがいました。
★Boettcher ベッチャー先生の演奏を聴いた Oistrakh から、
≪Brahms「Das Doppelkonzert a-Moll für Violine, Violoncello
und Orchester」を、一緒に録音したい≫という申し込みが突然、
舞い込んだそうです。
まだ、40代初めの先生は、「本当に嬉しかった!!!」、
大マエストロから指名があったのです。
録音の日程も決まり、練習を重ね演奏に臨むばかりの時、
悲しい連絡、 Oistrakh の思いがけない訃報でした。
★人生、いつ何が起き、どうなるか分かりません。
行動できることは、迷わず、ためらわず、
行動したいものですね。
★ Boettcher ベッチャー先生は、
この「Doppelkonzert」を、Hoelscher 先生のviolinで、
録音されています。
Radio-Sinfonieorchester Stuttgart
Sir Neville Marriner : Conducter
《CAPRICCIO 10496》。
いい演奏です。
★ロシアの偉大な cellist Gregor Piatigorsky
グレゴール・ピアティゴルスキー(1903-1976)との先生の、
これまた残念な思い出話も、よくお聞きしましたが、
この話はいずれまたの機会に。
★Bachの誕生日 3月 21日、Boettcher ベッチャー先生が、
私の「Suite für Violoncello solo Nr.3無伴奏チェロ組曲 第3番」の
全曲初演を、 ドイツのWittenでなさいます。
心待ちにしております。
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