
■シューベルト即興曲のアナリーゼ講座は、9月13日(日)です■
≪ Vier Impromptus Op-90、2番と4番 ≫
09.8.4 中村洋子
★カワイアナリーゼ(楽曲分析)講座として、これまで、
ベートーヴェン「ワルトシュタイン・ソナタ」、
バッハ「イタリア協奏曲」、ショパン「バラード1番」、
ドビュッシー「ベルガマスク組曲、喜びの島」などを、
取り上げて、まいりました。
今回は、シューベルトの「即興曲」のなかでも、
最も親しまれている2曲 「Op-90、2番と4番」 を、
アナリーゼいたします。
★シューベルト Schubert (1797~1828)は、
音楽史上、稀にみる大作曲家ですが、意外と、
伝記や研究書が少ないことに、お気付きと思います。
31歳の短すぎる生涯の、ほとんどすべての時間を、
作曲だけに、捧げ尽くした人でした。
それゆえ、伝記で書くのに格好なエピソードなどは、
存在しようが、なかったのです。
★「4つの即興曲 Op-90 D.899」 の 2番変ホ長調と、
4番変イ長調は、誰でも、どこかで耳にした曲であり、
ピアノ学習者の方は、一度は弾くことがあると思います。
2曲とも、A-B-A の3部形式で、2番のAの部分は、
流れるような音階が続き、4番のAの部分は、
デリケートな分散和音が、さざなみのように、続きます。
中間部は、両曲とも、和音を基にした
エモーショナルな世界が、出現します。
★親しみやすい外見にもかかわらず、
実は、この曲は、シューベルトのピアノ作品を、
集大成した内容を、もっています。
この曲を作曲した1827年は、彼の死の前年であり、
同じ年には、歌曲集「冬の旅」も、作曲しています。
両者を結び付ける、共通のモティーフすらあります。
また、この「4つの即興曲」の4曲も、
緊密な構成原理で、結び付いています。
★この有名な「即興曲」を、弾いたり、聴いたりする際、
このようなバックグラウンドを、理解することは、
シューベルトに近づく、第一歩です。
★私たちは、シューベルトが残した「楽譜」からのみ、
シューベルトを学ぶのですが、ピアノ作品を深く知るには、
彼の歌曲や室内楽作品も、同時に学ぶ必要があります。
★「Op-90の2番」は、エチュード(練習曲)として
見ることも、可能です。
バッハの前奏曲から、シューベルトを経て、
ショパンの「エチュード」へと、つながっていくのです。
ショパンは、バッハとシューベルトを、
とても深く、研究しています。
「4番」の転調方法は、シューベルト独特の「3度の関係」を、
駆使しています。
これが、後世の作曲家、特にドビュッシーに、
大きな影響を、与えています。
★この曲でつかわれる「和声」や「転調」を、
具体的にはっきりと、理解しますと、
どのようなエクスプレッションを、つけて演奏すべきか、
自ずから、分かってきます。
★さらに、この曲の効率的な「暗譜」の方法も、
詳しく、ご紹介します。
日時:2009年9月13日 午後3時~6時
会場:カワイ表参道 2F コンサートサロン「パウゼ」
会費:3000円 (要予約)
講師:中村洋子
参加ご予約・お問い合わせは 03-3409-2511 omotesando@kawai.co.jp
■講師:作曲家 中村 洋子
東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会、日本音楽著作権協会(JASRAC)の各会員。ピアノ、チェロ、ギター、声楽、雅楽、室内楽などの作品を発表。2003 年~05 年、アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で、新作を発表。自作品「無伴奏チェロ組曲」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『W.ベッチャー 日本を弾く』を07 年に発表する。このチェロ組曲やチェロアンサンブル作品がドイツ各地で演奏されている。08年9月、CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」とソプラノとギターの「星の林に月の船」を発表。
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●第13 回「インヴェンション・アナリーゼ講座
9月 29日(火)午前10 時~12 時30 分 「パウゼ」
インヴェンション&シンフォニア第13 番
●第14 回「インヴェンション・アナリーゼ講座」
10月 29日(木)午前10 時~12 時30 分 「パウゼ」
インヴェンション&シンフォニア第14番
●第15 回 「インヴェンション・アナリーゼ講座」
12月 4日(金)午前10 時~12 時30 分 「パウゼ」
インヴェンション&シンフォニア第15 番、
■カワイ名古屋 第1回「インヴェンション・アナリーゼ講座」
10月 21日(水)午前10時~
インヴェンション&シンフォニア各1番
(オオシオカラトンボ)
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