■Chopinは、平均律 1 巻 18番を学び尽くして「幻想ポロネーズ」を完成■
ショパンが見た 「 平均律クラヴィーア曲集 」 アナリーゼ講座
第 18回 平均律 第 1巻 18番 gis-Moll
2014.4.19 中村洋子
★Bach の 「 平均律クラヴィーア曲集 1巻 18番 」 Preludeは、
わずか 29小節です。
一見、単純な 「 3声 」 に見えるため、侮ったように
「 3声のインヴェンション 」 と、あっさり片付けている解説書が、
流布しているようです。
★しかし、そうではありません。
そのような解説書は、「 インヴェンション 」 も、
理解していないといえます。
★通常ですと、 17番が 変イ長調 As-Dur であるため、
18番は 「 変イ短調 as-Moll 」 となるはずです。
しかし、バッハは、 異名同音調である 「 嬰ト短調 ( gis-Moll ) 」 と、
しました。
なぜ、バッハがそのようにしたのでしょうか?
★それを、徹底的に考え抜き、自分の作品に反映させたのが、
Frederic Chopin ショパン (1810~1849) なのです。
Chopin が、18番 Prelude に書き込んだごくわずかな Fingering が、
この曲を理解するうえで、極めて重要なカギとなります。
★ ショパンの 「 幻想ポロネーズ POLONAISE-FANTASIE Opus.61 」
(1845~46 ) は、
「 As-Dur 」 の調号をもつ曲ですが、 17小節目で早くも、
異名同音同主短調の「 gis-Moll 」 に、転調します。こ
れは、≪ バッハの手法 ≫ です。
ショパンは、実に 1年半もの長い期間をかけて、
この曲を、作っています。
★平均律 1巻の 17、 18番 は、motif を共有し、
お互いに “ 見つめ合って ” います 。
そして、この曲が目指していくのは、
最後の、感動的な 「 24番 h-Moll 」 なのです。
「 幻想ポロネーズ 」 も、 132小節目から、
「 h-Moll 」 に、転調しています。
★ショパンは、18番から ≪ 調の関係 ≫ だけでなく、
和声についても深く学び、
それをさらに発展させた “ バッハ由来の和声 ” を、
見事に 「 幻想ポロネーズ 」 に、散りばめています。真
のショパンを演奏する “ 近道 ” は、バッハを、学ぶことです。
------------------------------------------------------
■日 時 : 2014年 5月 12日 (月) 午前 10 時 00分 ~12 時 30分
■会 場 : カワイ ミュージックスクール みなとみらい
横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F
( みなとみらい駅『 出口 1番 』出て、目の前の高層ビル 3F )
会 費 : 要予約 Tel.045-261-7323 横浜事務所
---------------------------------------------------------------------------
■ 講師 : 作曲家 中村 洋子 Yoko Nakamura
東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。
2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。
07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。
08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。
08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
Analysis インヴェンション・アナリーゼ講座 」
全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。
09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
初演される。
10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。
10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
「 Regenbogen-Cellotrios 虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。
11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
Musikverlag Hauke Hack Dortmund 社から出版。
13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
自作品が演奏される。
★上記の楽譜とCDは
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で
販売中。
★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」
Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
全国の主要CDショップや amazon でも、ご注文できます
※copyright © Yoko Nakamura
All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲