音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■Ravelも、 Bachを驚くほど吸収し、Sonatineとして結実させた■

2012-04-27 14:24:31 | ■私のアナリーゼ講座■

■第 23回 平均律クラヴィーア曲集・アナリーゼ講座のご案内■

                       2012.4.27 中村洋子

 

★次回の平均律・アナリーゼ講座は、

第 1巻 第 23番 ロ長調 前奏曲とフーガ

~あの Ravel も、 Bach を驚くほど吸収し、

          Sonatine として結実させた~

■ 2012年 5月 24日 ( 木 ) 午前 10時~ 12時 30分

■ Kawai・表参道 「 パウゼ 」


 
★平均律クラヴィーア曲集第 1巻 23番前奏曲は、

葬列を想起させる 22番前奏曲と、

ゴルゴダの刑場に向かうような、重い足取りの 24番前奏曲に、

挟まれています。

 

23番前奏曲の冒頭バス声部は、H音が 2小節伸ばされています、

つまり、オルガンポイントです。その上に、16分音符の Motivが、

ソプラノで小鳥のさえずりのように、歌い始めます。

その 16分音符は、フーガの第 1小節で、 8分音符に拡大され、

1オクターブ低く、再登場します。

 


H-Dur ( ロ長調 )は、♯を 5つ持つ、当時としては斬新な調性です。

手の位置も、黒鍵を多く弾くため、鍵盤の奥に指を置き、腕も少し伸

ばし気味となるため、23番のもつ「軽やかさ」は、

この H-Dur という調性と、無縁ではありません


★ しかし、 23番は決して、明るく軽やかなだけでは、ありません。

前奏曲 3小節目後半から  4小節目にかけて、

アルト声部として現れる 「半音階進行 」 は、

22、24番と、とても深いところで呼応しているのです。

 

★Maurice Ravel (1875~1937) の Sonatine (1905年出版) は、

Durand社に、 Ravel との独占契約を決意させた曲です。

Sonatine には、23番前奏曲が色濃く反映されており、

Durand社は慧眼にも、それを見抜いたのです。


Sonatineの第1楽章は、♯が 3つの fis moll で、

冒頭 3小節は、 Bach 23番前奏曲の冒頭 2小節と同じ Motiv が、

浮上します。

この相似点をどう理解し、演奏に活かしたらいいのか、

講座で、分かりやすくお話します。


■今後のスケジュール

●第 24回   6月 15日  ( 金 ) 第 24番 ロ短調 前奏曲とフーガ 
                       ≪ Bach ロ短調ミサとの関連 ≫

●イタリア協奏曲・アナリーゼ講座  全 3回
                第1回  7月 31日 ( 火 )  第 1楽章 

                   第2回  8月 28日 ( 火 )  第 2楽章

                 第3回  9月 28日 ( 金 )  第 3楽章

                                   ※copyright © Yoko Nakamura
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする