最近いろいろあって、朝から考え事をしていた。
まぁ、いろいろあったといってもさほど大したことじゃない。
命に関わるとか、人類の未来を左右するとか、地球存亡の鍵を握るとか、そういうことではない。
第一、自分のことではなかったりする。
知り合いのことだ。
身近な人々の身に起こったこと、起こっていること、いろいろについてだ。
そしたら、昔のことを思い出した。
僕が子供のころ、友人に、両手の指が4本ずつしかない男の子がいた。
僕は彼と同じクラスだった。
僕は彼と2年近く仲良く遊んでいた。
大親友ってわけじゃなかったけど、休み時間はたいてい一緒に過ごしていたし、帰り道の方向は一緒だったし、とにかく毎日毎日学校で顔を突き合わせちゃあ、バカをしていた。
僕は彼の指が4本しかないことにずっと気が付かなかった。
そのことを教えてくれたのは、誰あろう、彼本人だった。
知り合って2年近く経ったある日、彼は突然「ほら僕の指見てよ、おかしいだろ?」と言った。
僕は、分からない、と答えた。
だって本当に分からなかったのだ。
彼の両手は実に自然だったから。
僕には彼が抱えているその「欠落」が分からなかった。
でもよく見ると指の数はたしかに4本だった。
中指がぽっかり消えていて、その隙間を人差し指と薬指が左右から綺麗に埋めていて、それは見事なまでに形が整った4本指だった。
彼は恥ずかしそうに「知ってると思ってたよ」と言った。
僕が「ぜんぜん気付かなかった」と言うと、彼は少し笑った。
自然に、堂々と、過ごしていれば、
欠落に他人は気付かない。
たとえ気付いたとしても、
それをいつまでも気にはとめない。
そういうことです。
頑張れ!
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