ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ユーラシア経済同盟

2015-01-02 | ベラルーシ生活
 新年早々、日本のニュースにも登場した経済同盟のニュース。
 こちらでは去年の5月にロシア・カザフスタン・ベラルーシの三国がまず調印していたのと、今回アルメニアも加盟することも知っていたので、別にびっくりしないニュースだったのですが、昨今ロシアの経済状態が悪化していたので、この同盟は実際はどうなるの? と外国からは思われているみたいですね。


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(NHKニュースより。)

「ユーラシア経済同盟」は、人やモノ、それに資本などの移動の自由を保障し、エネルギーや農業などの分野で共通の政策を行うため、ロシアが旧ソビエトのベラルーシとカザフスタン、それにアルメニアと経済を再統合するもので、去年末までに各国が条約を批准し、1日発足しました。

 ロシアのプーチン大統領は、「同盟によって域内人口が1億7000万の巨大市場になり、世界の天然ガスの埋蔵量の20%、原油の15%を保有する」と述べ、意義を強調しています。

 この経済同盟はEU=ヨーロッパ連合やアメリカに対抗するためロシア主導で進められてきましたが、ロシアとしては、これを基盤に政治的な関係強化も図るねらいがあるものとみられます。

 しかし、カザフスタンのナザルバーエフ大統領は「各国の主権が損なわれることはない」と繰り返し主張し、ロシアをけん制するなど思惑の違いも出ているとみられます。

 さらに、ロシアの主な輸出品である原油の価格の下落でロシア経済が悪化する見通しのなか、加盟国が足並みをそろえて協力関係を築けるかどうかは不透明な情勢です。

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 欧米によるロシアへの経済封鎖で、大国ロシアの経済が混乱している・・・のですが、お正月にS夫のロシアの親戚がベラルーシへやって来たので話を聞きました。
「モスクワにずっと住んでいるけど食料品は今でも何でもそろっているし、変化はない。生活には特に困ってない。」
ということでした。
 ただロシアルーブルの価値が乱高下しているので、物価も上がったり下がったりしていて、それで損をしている人もいれば、得をしている人もいる、ということです。

 ベラルーシは農業国・酪農国なので、大量の食料品をロシアに輸出していましたし、今もそうなのですが、ロシアがベラルーシの食料品をたくさん買ってくれる、そして経済(関税)同盟を結ぶことによって、得する側に回れるのではないか、という期待がありました。
 確かにベラルーシが得をする部分もありますが、損する部分もあります。それはロシアの経済が悪くなると経済的に繋がりの強いベラルーシも引っ張られて、経済状態が悪くなるのです。
 お正月明けから、対ドルにして7.5%のベラルーシルーブルの値下がりが起こってしまい、このままだとインフレが加速する恐れがあります。
 一般庶民の生活が苦しくなるかもしれないので、自己防衛しないといけません。

 去年はロシアに食料品を輸出しすぎて(?)ベラルーシの野菜の価格が30%上がりました。
 せっかく結んだ経済同盟は何とかしてくれないのか、と思いますが、朋友ロシアとカザフスタンは石油や天然ガスなど資源が多い国。つまり同盟国に売るものがたくさんあります。
 しかしベラルーシはこれほど高く売れるものがない国なのです。つまり経済同盟というと、何だかその中は平等で対等な関係の似たもの同士の国のように思われがちですが、実際はユーラシア経済同盟は売る物があるかないかという視点で見れば、非常にアンバランスな状態なのです。

 プーチン大統領は、「同盟によって域内人口が1億7000万の巨大市場になり・・・」と言っていますが、この数字のうち、ベラルーシの人口はたったの950万人です。
 ロシアとカザフスタンという大国と比べ、ベラルーシだけ浮いているという感じです。
 そのためベラルーシは同盟の中で受け身な立場に追いやられてしまうのではないか、と心配です。
 このようなバランスが悪い状態の同盟がうまくいくのかどうか、よく分かりません。さらに今は同盟のリーダーであるロシアの経済がぐらついています。
 私の予想では、天然資源がないベラルーシが人を資源としてロシアやカザフスタンに流出させてしまうのではないかと思います。
 ユーラシア経済同盟国の間では資源や商品だけではなく、人材の行き来も自由にすることが協定に盛り込まれているので、ベラルーシ人がロシアやカザフスタンへ出稼ぎに行くことが簡単になります。
 逆に人口が多いロシアから、ベラルーシの大学への入学希望者が増え、ロシア人とカザフスタン人の留学生が増えるのではないでしょうか。
(同盟国の人間は外国人扱いしないそうなので、留学生とは呼ばないでしょうが。)

 ベラルーシ国内で非ベラルーシ人の大学生は増えるけれど、働くのはベラルーシではいやだ、という人が増えると思います。
 これもベラルーシにとって得でもあり損でもあると言えるでしょう。
 ベラルーシ人が同盟国へ働きに行ってしまうと、人口が減るので経済的によくない、という考えもありますし、逆に働きに行った人が稼ぎをベラルーシへ持ち込むことになるので、ベラルーシ経済が潤う、という考えもあります。

 去年の5月には、ロシア経済が年内に不安定化するとは予想していなかったので、今年スタートしたユーラシア経済同盟は、行く先不透明と思われているようですが、ベラルーシに住む一庶民からすれば、物価高が進むのは何とかしてほしいのと、ベラルーシ経済にとって、少しでもプラスは多く、マイナスは少ない効果をもたらしてほしいなあ、と思います。