ベラルーシの部屋ブログ

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最初の犠牲者の告別式

2020-08-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 8月10日夜のデモ集会で死亡した男性の告別式が8月15日昼12時に始まりました。

 現場となった地下鉄プーシキンスカヤ駅に大勢の人が集まり、また花を手向けています。

 その数1000人以上と見られます。

 最初の犠牲者になった男性を、「ベラルーシの自由のために命を落とした」として、悼む声が上がっています。

 ベラルーシ政府の発表では、本人が自作の手榴弾を投げ損なって、自分で自分を爆死させてしまった、としています。

 遺族がラジオ局のインタビューで話した内容によると、この男性は34歳で、内縁の妻がおり、その日は幼い娘を連れて、散歩をしていた。夕方友人から電話があって、デモ集会に参加することを誘われた。Tシャツ、短パン姿で、スマホ、タバコと財布だけ持って出かけた。

 その後行方不明になり、妻や父親が二日間探し回ったところ、最初の犠牲者となった人物が本人だったとわかった。内務省(警察)から家族に連絡はなかった。それは妻が内縁の関係だったから、という理由らしいが、本人には肉親である父親もいるのに、父親にも警察から連絡はなかった。

 妻が言うには、自宅を出たとき、軽装でカバンも持っておらず、手榴弾など持って行ってなかった。もちろん手榴弾を自作するような人ではなかった。

 選挙結果に不満はあっただろうが、(そうでなかったらデモ集会に行かない。)前々から、「ベラルーシのためなら死んでもいい」などといった自暴自棄な考えの持ち主ではなく、明るく前向きな性格で、まじめに働き、娘にとってよい父親だった・・・そうです。

 手榴弾を友人から手渡された可能性もあると言えばありますが。

 反政府側は、この男性の足元に治安部隊が閃光弾を発射したからだとしています。目撃していた人は、彼は何も手に持っておらず、手元で爆発は起こらなかったと話しています。

 爆発のようすをスマホで偶然動画撮影していた人もいるので、それを私も見てみましたが、閃光と煙がひどくて、人の姿も何も見えませんでした。どちらの言い分が正しいのか、私には判断がつきませんでした。

 でも、一人の人の命が失われてしまったのは事実です。この男性、アレクサンドル・タライコフスキーさんのご冥福をお祈りします。 

・・・

 追記です。

 タライコフスキーさんの遺体を対面した遺族の話では、手榴弾を持っていたはずの手や腕には傷はなかったそうです。

 胸に穴が空いていた跡があり、司法解剖のときに傷口を縫い合わせてあったそうです。

 8月15日にタライコフスキーさんの死の瞬間を撮影した動画とされるものがネット上で拡散されましたが、明らかに手榴弾など手に持っておらず、両手を上にあげて治安部隊のほうへ近づいていた人が、突然真後ろに倒れるようすが写っていました。煙などもなく、今まで私が見ていた映像とは全くちがいます。

 この映像に映っていた人が絶対タライコフスキーさんだったかどうかの確証はありません。

  


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