ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

国立ベラルーシ文化芸術大学で日本文化の夕べ

2015-12-11 | 日本文化情報センター
 国立ベラルーシ文化芸術大学文化学部主催の「日本文化の夕べ・日本の謎」に参加しました。
 この学部のスモリク教授とゴシケービッチに関する論文を共同執筆したことがあり、そのつながりでこの発表会に招いていただきました。

 この学部に所属している学生、そして大学院生で、希望者が日本に関するテーマを自ら選び、研究したものを発表しました。
 予想以上にテーマが多岐に渡っていました。
「日本におけるキリスト教史」(ゴシケービッチやニコライ主教のほか、隠れキリシタンのことなど。このテーマについて大学で研究しているベラルーシ人はこの発表者の方1人だけだとか・・。)
「日本映画」(黒澤明の「羅生門」が一番のお勧めだそうです
「俳句と短歌」「女武芸者が使用していた武器」「ギャル文化」・・・

 日本のギャルについて発表した学生さんは、自分自身がこんなかっこうをするのはいやだ、と言っていました。
 質疑応答ではやっぱりギャルのときに質問が殺到。発表者が答えられないことは、矛先が日本人の私へ・・・

「ギャルは異性の間でもてるのですか? もてたいからあのようなかっこうをするのですか?」
(→ ギャルを連れて歩きたいという男性もおれば、連れて歩くのは恥ずかしいという男性もいるでしょう。)

「髪を金髪にしたり、どうして日本人女性は西洋人に近づこうとするのですか? (日本人女性の良さがなくなってしまう・・・)」
(→ 日本人はみんな黒髪、黒い目、黄色い肌で同じ。ヨーロッパでは髪の色や目の色にバリエーションがあるから、生まれながらに外見の個性を持てるけど、アジア人は難しい。個性的であるためには、日本人とちがう外国人の容姿に人工的に近づけたらいい、と思う心理状態・・・というのが理由の一つ。)

「日本の女性向け雑誌の表紙に外国人(あるいはそれに近いギャル)のモデルを起用することについて、日本政府は危機感を感じていないのですか?」
(→ 日本政府は危機感など感じていないと思います。日本人は日本人の美しさを若い世代に教えるべきだという意見は、実にベラルーシ人的発想だと思いますね。とにかく「これがきれいで、あこがれる。」と思う基準が今はこのようになっています。黒以外の色の髪、小顔、高い背、やせている、若く見える、異国情緒。日本人が西洋人にあこがれるのはそういう理由からですが、遺伝子が理由だと言う説もあります。近親相姦という言葉を聞くだけで不愉快になりませんか? ほら、なったでしょ。それは皆さんがまともだから。遺伝子が近すぎる者同士から生まれる子どもは健康上のリスクが高くなります。それを避けるために本能的に自分と遺伝子が近い者どうしが好きにならないようになっています。逆に言えば、遺伝子が遠い者どうしは、好きになる可能性が高い。遠ければ遠いほど惹かれる、というのは遺伝子が理由なのかもしれません。今日だってなんでわざわざベラルーシの大学で日本文化の夕べを見に来るの? 似ていないものに人間はあこがれることが多々ありますよ。)

 さらには芥川龍之介の「羅生門」のほうをモチーフにした寸劇も上演されました。
 学生さんたちの衣装として浴衣を貸し出したのですが、ちゃんと小柄な人を選んでくれてよかったです。思っていたよりずっと着物が似合っていました。
 この寸劇ですが、演技と同時にビデオ映像が投影され、死人の頭から髪の毛を引っこ抜いて売る・・・というあの会話が映像の中で再現されていました。ベラルーシ人なので、髪の毛が亜麻色でしたが、かえってそれが怖い・・・
 ベラルーシバージョンの羅生門でしたが、かなり怖くて、作品の世界を独自に表現していたと思います。監督をしたのは文化学部の先生で、やっぱり上手だなあと思いました。

 大学の文化学部主催とあって、レベルが高かったです。
 これからも日本文化情報センターとして協力できたらと思います。