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リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ブサール先生の教え(7)

2022年07月30日 16時25分49秒 | 音楽系
今回はこれ。

「誓って真実を、嘘偽りなく敢えて申し上げれば、ものごとの始めにおける忍耐ほど上達の支えとなるものはありません。何事もすぐには手に入るものではありません」

このくらいは分かっています。でも20年やっていてもバッハはちっとも弾けないんだよな。とおっしゃる方がいらっしゃるかもわかりませんが、ブサール先生はこのあとこんな風に続けています。

「全てのグリッフとその間にある音符を丁寧にはっきりと、しかしゆっくりと弾くことのみに注意を払ってください」

グリッフというのは和音などの複数の音を抑えるときの指の型です。ブサール先生はまずきちんと音を出すことの重要性をおっしゃっています。

でも私が教えている経験から言いますと、次の2点が問題になることが多いです。

1.きちんと押さえられない。
2.そもそもゆっくりテンポをキープして弾くことができない。

でもさすがブサール先生、2.についてはちゃんと言及しています。

「いつの間にか、望むと望まないとにかかわらず、ついつい速く弾く癖がついてしまいがちです」

2.について放ったらかしにしておくと、いつまでたってもテンポをキープすることができず、自分で設定した特定のテンポ?でしか弾けなくなります。1.については押弦の基礎をきちんと学ぶしかありません。1.と2.が克服できていることがブサール先生の箴言の前提です。要するに、私がよく言うように、ものごとには順序があるということです。