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リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

現代音楽、紅テント、古楽復興、ぴんからトリオ、ユーミン、ビートルズの時代(上)

2022年07月04日 13時56分16秒 | 音楽系
今朝のブランチのBGMは久しぶりに松下眞一です。松下眞一といっても余程現代音楽に興味のある方でないかぎりご存じないと思います。

彼は作曲家であり数学や物理学を研究する学者であり、宗教学者でもある人です。1922年生まれですので、武満徹より8歳年上です。武満がアカデミズムを嫌い作曲一本で生きたのに対して松下は学者として大学に奉職して安定した生活基盤があった上で作曲活動を続けた人です。この生き方の違いは、武満が商業音楽にもジャンルを広げあるいは作風がある意味大衆迎合とまでは言わないですが、分かりやすい方向に傾いていったのに対して松下はあくまでもいわゆるアヴァンギャルドのスタイルを通したということに現れています。簡単に行うと武満は曲が売れなければならないけど松下は売れなくても構わない、まぁ極論ですけどそんな感じです。

CDはライブ録音ですが、60年代初め頃から70年代にかけてのライブです。音源はNHKのアーカイブなのでこういうのを放送でやっていたんですね。もちろんその元となったコンサートも開かれていたわけです。よくこんなもの(というとけなしているみたいですが、わたしはこんなものが大好物なんです)をコンサートでやったもんです。それによくこんなものを聴きに来たお客さんがいたもんです。

この手の現代音楽がポツンと世間から遊離したある種ペダンディックな存在だったようにも思えますが、当時の文化世相を思い返してみると必ずしもそうではないことが見えてきます。

60年代終わりころから70年代初めにかけては、新宿でフォークゲリラが出てきたり、ナントカ神社で唐十郎が紅テントを建ててアングラ劇を上演したりしていました。政治的には安保闘争、東大紛争があった頃です。