リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バッハのリュート組曲995タブ化メモ(11)

2009年04月08日 11時41分32秒 | 音楽系
そうそう、プレリュードの終わりから58小節目から始まるフレーズも結構難所です。状声部は同じ弦のパターンで弾く方がインパクトがありますが、初期のころのタブではバスと中声部を長めにのばすため、小節ごとに上声部の弦や指使いを替えていました。この方法は一応音はでますが、音色が小節ごとに微妙に替わったり、演奏自体もなんとなくやりにくい感じがしましたので、思い切ってバスと中声部を短めに演奏するということ風にしました。

そこまでのバスもバッハの記譜に従って短めに処理をしてきましたので、ここを少しアクセントを置きながら短め(1拍だけの長さ)にしても特に違和感を感じないどころか、上声部が同じパターンで演奏できるので、かえってスムーズに感じるくらいになりました。ここまでのバスの処理を「垂れ流し」にしていたら、この部分を短くしたら妙に浮いてしまうところでした。

この「難所」を昔のリュート奏者はどう扱ったかを、18世紀中頃に書かれた本曲のタブで見てみますと、バスをオクターブ下げて開放弦のバスを使うことで困難を回避しています。でもここはやはりバッハが書いた音の高さを保って行きたいところです。