甃のうへ 三好達治
あわれ花びらながれ
おみなごに花びらながれ
おみなごしめやかに語らいあゆみ
うららかの跫(あし)音 空にながれ
おりふしに瞳をあげて
翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍(いらか)みどりにうるおい
廂(ひさし)々に
風鐸(ふうたく)のすがたしずかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする甃のうえ
(詩集『測量船』から)
三好達治のこの詩を学校で習ったときから風鐸が好きになったという話は、以前にも書きました。
お寺や塔の屋根の軒隅木についている小さな釣鐘様の金具、風鐸。
これは単に飾り物であって、音が鳴るなんて・・・とずっと思い込んでいました。
ところが昨年の秋ある掲示板に、風の強い日に風鐸の鳴る音を聞いた・・・と知り合いの人がお書きになっているのを見つけました。
どんな音色なのかしら、ぜひ自分の耳で聞きたいものと思い、家族に頼んで年末に奈良へ行ってきました。
検索で色々調べてみると、奈良の法輪寺の三重塔なら風の日にはきっと聞けるということが解ったからです。
旅に出る前日、明日は風が吹いてくれますようにと一生懸命に祈っていたら、ちゃんと吹いてくれました!
とても寒かったけれど。
これが法輪寺の三重の塔の姿です。

(最初に書いた記事でリンクが間違っていました。小坊主さん、みなさん、申し訳ありませんでした)
各屋根に4つずつの風鐸が下がっています。
そしてさらに、塔の上部にある相輪の、法輪部分や水煙の下にも、小さなかわいらしい風鐸がたくさん付けられてあるのをみつけて、驚きました。
こんな所にまで有るとは想像していなかったからです!

もちろん高い所なので、肉眼では、どうもそれらしいということしか解りませんでしたが・・・後でお寺の方に確認したら風鐸であると解りました。
<風鐸が鳴る仕組み>
風鐸は、私達がよく知っている風鈴のように、ちいさな釣鐘状の鐸身のなかに打棒と呼ばれる十字型の木製や、ちょっとひねった形の金属製のものが吊り下げられて、さらにその先に風招(風鐸の下に見えている金属性のもの)が吊るされていて、それが風を受けて揺れると音をたてるという仕組みになっているそうです。
この三重塔は1944年に落雷によって全焼。
関係者のご苦労が実って再建されたのが1975年です。
まだ新しい塔なので、風鐸の状態も良くて、良い音色を聞かせてくれるとのことでした。
風鐸も、出来てから何百年もたつと傷みが激しく、外の部分を残して壊れるので、すごく古い物は鳴らなくなってしまうことが多いのだそうです。
塔の再建の苦労話や解説がこちらに詳しいです。
そして、風に揺れる風鐸の影です。

どんな音がしたかというと、表現が難しいのですがからん からんと、ひらがなで小さく書くのがふさわしいような、ちょっと乾いた、しかし柔らかな音でした。
<年暮るる み寺の塔の風鐸の音色やさしくかすかに響く>
あわれ花びらながれ
おみなごに花びらながれ
おみなごしめやかに語らいあゆみ
うららかの跫(あし)音 空にながれ
おりふしに瞳をあげて
翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍(いらか)みどりにうるおい
廂(ひさし)々に
風鐸(ふうたく)のすがたしずかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする甃のうえ
(詩集『測量船』から)
三好達治のこの詩を学校で習ったときから風鐸が好きになったという話は、以前にも書きました。
お寺や塔の屋根の軒隅木についている小さな釣鐘様の金具、風鐸。
これは単に飾り物であって、音が鳴るなんて・・・とずっと思い込んでいました。
ところが昨年の秋ある掲示板に、風の強い日に風鐸の鳴る音を聞いた・・・と知り合いの人がお書きになっているのを見つけました。
どんな音色なのかしら、ぜひ自分の耳で聞きたいものと思い、家族に頼んで年末に奈良へ行ってきました。
検索で色々調べてみると、奈良の法輪寺の三重塔なら風の日にはきっと聞けるということが解ったからです。
旅に出る前日、明日は風が吹いてくれますようにと一生懸命に祈っていたら、ちゃんと吹いてくれました!
とても寒かったけれど。
これが法輪寺の三重の塔の姿です。

(最初に書いた記事でリンクが間違っていました。小坊主さん、みなさん、申し訳ありませんでした)
各屋根に4つずつの風鐸が下がっています。
そしてさらに、塔の上部にある相輪の、法輪部分や水煙の下にも、小さなかわいらしい風鐸がたくさん付けられてあるのをみつけて、驚きました。
こんな所にまで有るとは想像していなかったからです!

もちろん高い所なので、肉眼では、どうもそれらしいということしか解りませんでしたが・・・後でお寺の方に確認したら風鐸であると解りました。
<風鐸が鳴る仕組み>
風鐸は、私達がよく知っている風鈴のように、ちいさな釣鐘状の鐸身のなかに打棒と呼ばれる十字型の木製や、ちょっとひねった形の金属製のものが吊り下げられて、さらにその先に風招(風鐸の下に見えている金属性のもの)が吊るされていて、それが風を受けて揺れると音をたてるという仕組みになっているそうです。
この三重塔は1944年に落雷によって全焼。
関係者のご苦労が実って再建されたのが1975年です。
まだ新しい塔なので、風鐸の状態も良くて、良い音色を聞かせてくれるとのことでした。
風鐸も、出来てから何百年もたつと傷みが激しく、外の部分を残して壊れるので、すごく古い物は鳴らなくなってしまうことが多いのだそうです。
塔の再建の苦労話や解説がこちらに詳しいです。
そして、風に揺れる風鐸の影です。

どんな音がしたかというと、表現が難しいのですがからん からんと、ひらがなで小さく書くのがふさわしいような、ちょっと乾いた、しかし柔らかな音でした。
<年暮るる み寺の塔の風鐸の音色やさしくかすかに響く>