ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

パルッソのバローロ

2011-12-08 12:24:37 | ワイン&酒


バローロの造り手である Parusso (パルッソ)を紹介します。

北イタリアのピエモンテ州でつくられるバローロは、イタリア最高峰ワインのひとつとして不動の人気を誇っています。

著名かつ定評のある生産者が数多くいますが、今回紹介する「パルッソ」もそのひとつで、しかもユニークなワイン造りを行っています。

パルッソ は、1971年にアルマンド・パルッソ氏がバローロの瓶詰めを始めた時から始まり、アルマンドの息子マルコが1985年に醸造学校を卒業したのを機会に、カンティーナとして設立されました。
現在は、マルコと姉のティツアナさんによって運営されています。

パルッソは、1990年代はマルク・デ・グラツィアのバローロ・ボーイズのメンバーでしたが、2000年から方向転換し、バローロ・ボーイズを脱退しました。
現在は、ランガ・イン(LANGA IN)というグループ(ピエモンテのバローロ、バルバレスコ、モスカート、ロエロのエリアの18生産者で構成)に所属して活動しています。

パルッソが方向転換をしたキッカケは、マルコが2000年に体調を崩したことでした。
自分の健康と向き合った時、より自然な味わいのワイン造りをしたい、と思うようになりました。

そこで考えたのが、「酸素といかに上手に付き合っていくか?」 ということ。

ワイン造りの過程において、酸素に触れること ―酸化は気をつけねばならないことですが、
マルコは、酸化を恐れないワイン造りをしていこう、と考えました。

収穫後のブドウは発酵前にしっかり休ませ、酸素となじませ、風味を安定させます。
この間に果梗の水分が抜け、タンニンも甘くなり、種や果皮のタンニンも追熟させます。
大量のオリを残したままバリックで熟成し、熟成中はバトナージュ(ワインをかき混ぜること)を行ない、酸素と接触させます。

こうして育てた酸化を恐れないワインは、逞しく(マッチョという意味ではない逞しさ)、抜栓してからも長持ちする、とマルコは考えています。

さて、21世紀のパルッソは、どんな味わいになっているでしょうか?
バローロ以外のラインナップも交え、6アイテムを試飲しました。




Langhe Bianco 2010 Parusso

ソーヴィニヨン・ブラン100%の白ワインです。ステンレスタンクで6カ月シュル・リーで熟成。
白い花的な清楚なアロマが上品で、これがソーヴィニヨン?と思うほど。ツルツルしてなめらかな口当たりで、非常にクリーン&クリア。酸はしっかりしています。ほどよいボリュームで、肉系の前菜(生ハムなど)によく合いました。



Langhe Bricco Rovella 2009 Parusso

こちらもソーヴィニヨン・ブラン100%の白ワイン。アルコールは14%あります。
樹齢20年の木のブドウを使い、小樽でマロラクティック発酵、12~15カ月熟成。
色調は琥珀色が入って深みを増し、香りにもトロピカルな甘さが加わります。
テクスチャーは非常になめらかで、コク、複雑味、深みがあり、酸も充分で、ヴィオニエ的な華やかさも感じられるワインです。
パルッソで、このように素晴らしい白ワインを造ってたとは!



Dolcetto d'Alba 2010 Parusso

ドルチェット種から造られた、チャーミングな若々しい赤ワインです。
まだプチプチした感じがあり、みずみずしくジューシー。酸もタンニンもフレッシュ。
時間が経つと、やわらかく、甘く、まろやかになってきます。
アルコール12.5%とライト。これは気軽に楽しめますね。



Barbera d'Alba Superiore 2007 Parusso

樹齢30年のバルベーラから造られた赤ワインで、アルコールは14.5%。
深い色調で、パープルのニュアンスが残る黒紫。充実した酸はフレッシュ感が残り、ジューシーなのに、タンニンはよく溶け込んで緻密。なめらかでトロみがあり、濃厚。このバルベーラはレベルが高い!



Barolo Bussia 2006 Parusso

さて、いよいよバローロ。
Rocche、Munie、Bussia Sottanaをブレンドし、“バローロ・ブッシア”として造っています。
標高300~330m、樹齢は10~50年、順に、南南東、南西、西に向いた畑です。
小樽での熟成は24カ月、瓶詰め後も12カ月寝かせています。アルコール14%。
口に含むと、軽やかで繊細なタッチに驚かされます。果実味がきれいで、ボディはみっちり濃密で緻密ですが、しっとりなめらかで、デリケート。ズシッと重厚なタイプではなく、軽快でエレガント。



Barolo Bussia Riserva 1999 Parusso

パルッソが方向転換をする前の時代のバローロで、黄金ラベルのリゼルバは良年のみに造られます。モンフォルテ・ダルバののブッシアのエリアの厳選したブドウを使い、小さいオークバレルで30カ月熟成させ、瓶詰め後は6年間寝かせています。

12年も経っているのだから、熟成したニュアンスが出ていてもいいはずなのに、香りを嗅いだ瞬間、若い!と感じました。
口にすると、酸が若々しく厚みがあります。ボディは非常にしなやかですが、力強さがあります。この酸があるからこそ、今の状態があるのだと思いますが、2000年以降のパルッソでは、酸は非常に少なく感じるはずだとマルコは言っています。
たしかに、ひとつ前のバローロ・ブッシア2006は、酸の存在を忘れていました(存在がないわけではないのですが)。

1999年のこのワインは、ちょうど転換前のもので、非常にパワフル!
2006年のバローロのデリケートなタッチと比べると、この変化は興味深いですね。
願わくば、もう少しさまざまな飲み比べをして探ってみたいものですが(笑)


(輸入元:株式会社協和興材)


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