ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

アルゼンチンの食とワインの豊かなマッチング

2015-11-09 12:38:49 | ワイン&酒
先日、アルゼンチン大使館にてプレス向けのワインと食のプレゼンテーションがありました。

今回は、日本の食材をまじえたマッチングも所々にあり、興味深いものでした。

アルゼンチンのワインは、白がトロンテス、赤がマルベック。まずはこれが基本です。



さて、アルゼンチンの食文化を語るには、地理的条件と、移民がキーワードになります。
地域によるさまざまな影響はありますが、移民というのも、私たち日本人には理解しにくいかもしれません。
アルゼンチンは1810年まではスペインの植民地でしたが、19世紀末からはイタリア移民が多くなり、現代では、アルゼンチン人の半分がイタリア系の血を引くとか。
ですから、現在のアルゼンチンの料理には、イタリアの影響がかなり入っています。

また、アルゼンチンの国土は広いため(日本の7.5倍!)、地域によって食材が異なり、料理も多彩です。



有名な“エンパナーダ”はアルゼンチン北西部がもっともおいしいそうですよ。
北西部のとkさんは、ジャガイモ、トウモロコシ、ピーマン、カボチャなど。

エンパナーダの中身はいろいろあり、上はチーズと玉ねぎのエンパナーダ


見た目ではわかりませんが、こちらは牛肉のエンパナーダ

エンパナーダは、私がアルゼンチンを訪問した時にも、各ワイナリーで出てきました。
食事が始まる前、食前酒を飲みながらおつまみとしてよく食べます。




北西部のカルチャキ渓谷はトロンテスの産地として有名です。

白い花の香りがあり、フルーティで爽やかな辛口のトロンテスの白ワインは、日本にも各社が輸入しています。



カボスを絞った生ガキや、たっぷりのミョウガを薬味に添えた豆腐パクチー風味のムール貝のワイン蒸しなど、ちょっと個性のある薬味類と合わせると、トロンテスの良さを発揮してくれそうです。



アルゼンチン産の海老は日本へも多く輸出されています 海老もトロンテスにバッチリ!
海老は、アルゼンチン南部のパタゴニア地方でよく獲れます。

南部パタゴニアはドイツ系、中央ヨーロッパ系の移民が多いため、スイーツやチョコレートが名産で、ビールもよく飲まれるそうです。
ラム肉、キノコ、ベリー類も特産です。

首都ブエノスアイレスがあるブエノスアイレス州牧畜が盛んです。
バベキューの“アサード”には肉は不可欠。



このアサードもアルゼンチン訪問時にいただいてきましたが(上の写真)、牛肉だけでなく、さまざまな肉が焼かれ、ボリュームたっぷりでした。
ブエノスアイレスは移民が多く、国際色豊か。ピザ、パスタ、薄切りカツレツ(ミラネサ)もすでに地元の伝統料理になっています。

肉に合わせるなら、アルゼンチンでは赤ワインのマルベックが定番中の定番。



マルベックの主要産地はクージョ地方メンドーサ州のある地方です。
クージョ地方は、オリーブの栽培も盛んで、実、オイルともに有名です。


多彩なマルベックのワインがありますが、上質なカベルネのワインも揃っています



なめらかなマルベックは、和スイーツ(あずきとカカオのフォンダン/とらや)とも相性バッチリでした。


中央部はハーブが豊富で、この地に多いイタリアのピエモンテからの移民がもたらしたソーセージなどにもハーブが使われています。

沿岸地域は亜熱帯気候で、暑くて湿度も高い地域。
ここはマテ茶のマテの葉が栽培されています。


マテ茶のカップ

アルゼンチンの料理については、在日アルゼンチン大使館のホームページに画像付で色々と紹介されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
http://www.ar.emb-japan.go.jp/ContenidoJP/07.ComidasJP.htm



先日紹介したように、アルゼンチンは、2016年4月に「A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」の舞台となる国です。
コンクールへの注目が集まる中、アルゼンチンのワインや食も、これからどんどんと注目を増していきそうです。

コメント
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