ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

新旧スペインワイン【後編】

2010-09-27 11:31:21 | ワイン&酒
昨日は注目したいスペインの白ワイン産地DOリベイロ&ローカル白品種を紹介しましたが、今日もまたローカル品種のワインを中心に紹介したいと思います。

昨日のワイナリーも比較的新しいところでしたが、次に紹介するのも1999年設立の若いワイナリーです。ここは最新技術設備を備え、かつ有機栽培を実践しています。



Bodegas Engeura   (エチケットがカワイイ

驚いたのは、DOバレンシア のワインだということ。

バレンシアオレンジを想像するように、太陽がサンサンと降り注ぎ、かつてはマスカットフレーバーのする大量生産ワインの産地として認識されていたバレンシアですが、このところ飲んだワインで、これははイイと思ってラベルを見ると、バレンシア産が多いのです。

このボデガス・エンゲラは160haの自社畑を2つの地域に持ち、すべてを有機栽培で行い、オーガニック認定もしっかりとされています。
平均標高は650mと高いことが、有機栽培にとってプラスに働き、かつ良い品質のブドウの収穫につながっていると思われます。

このワイナリーでは赤ワインの生産が多く、モナストレル、テンプラニーリョなどのスペイン品種のほか、シラーやカベルネ・ソーヴィニヨンなども栽培しています。




この土地らしいと思ったのは、モナストレル100%「Paradigma」(パラディグマ)(写真左)。
酸がしっかりとしてエレガントな赤ワインだと感じました。

モナストレル60%にテンプラニーリョとメルロを20%ずつブレンドした「Sueno de megala」 (スエニョ・デ・メガラ)(写真中央)は、フレンチオークの新樽で20ヶ月熟成させているおかげで構成がしっかりし、飲みごたえがあって洗練されたものに仕上がっています。

「Verdil de Gel」 (ベルディル・デ・ヘル)(写真右)は、甘口白ワイン

ベルディル地元ラ・バル・デルス・アルフォリンスのローカル品種で、全地域で45haしか栽培面積ないのですが、エンゲラがそのうち6haを所有しています。

柑橘系の香り に特徴があり、ベルディルを辛口に仕立てた白ワインが素晴らしいようなのですが、この日は辛口タイプはなく、マイナス10℃で寝かせてつくった、自然発酵のスウィートワインのみでした(もしかして、他のブースにあったのかもしれませんが)。

甘口ワインだけに甘い!のですが、酸がしっかりと甘さを支え、素晴らしいバランスです。
香りも豊かで華やかで、実に品のいい甘口でした。

DOバレンシアでは、ぜひこの白品種「ヴェルディルに」注目したいと思います。



スペインワインの伝統産地リオハを見てみると・・・




やはり、じっくり時間をかけて熟成させたリゼルバ(最低36カ月)、グラン・リゼルバ(最低60カ月)は落ち着いた旨さがあり、口にするとほっとします。

この熟成規定があるからこそ、他にはない風味のあるワインが楽しめるんですよね。

が、醸造設備などがハイテク化され、熟成環境も変わってきたため、従来よりも果実味がキレイになり、モダンなスタイルになってきていると思いました。

「Pagos de Vina Real 2002」 (右端)なんていう、単一畑ワイン(Vino de Pago)のカテゴリも新しく出てきましたし、伝統生産者の今のリオハワインを飲むのもなかなか面白いのではないでしょうか?


コメント
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