ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

スペインのチーズ【前編】

2010-09-19 23:50:31 | おいしい食べもん
先日開催されたスペイングルメフェアに「スペインのチーズ」が出展されるということでしたので、かなり期待していました。

というのも、フランスのチーズに関しては、けっこう色々なものが日本に紹介されているのですが、スペインチーズとなるとガクッと少なくなるので、こうしたフェアは貴重な機会なのです。

その期待通りに、たしかにたくさんのスペインチーズを目の当たりにすることができたのは大きな収穫でした(展示が多く、ほとんど試食できなかったのは残念でしたが・・・)



さて、スペインチーズの特徴について、簡潔にひとことで述べるなら、
「羊のチーズが多い」でしょうか・・・

12世紀から19世紀まで、スペインでは「羊毛」の生産&輸出のために羊を多く飼っていたのですが、羊毛の需要が減るにつれ、羊は「乳製品」生産用に役割がシフトしてきたのです。

そのため、スペインの22のDOPチーズ(ワインのDOCと同様に原産地呼称があります:Denominacion de Origen Protegia)のうち、6つが羊乳のチーズとなっています。

羊乳チーズの代表的なものは「ケソ・マンチェゴ」


Queso Manchego (カスティーリャ・ラ・マンチャ州)

ケソ(Queso)とはスペイン語で「チーズ」の意味。
マンチェゴの名前は、「マンチェガ」種という羊の品種から来ています。


羊の乳は乳脂肪やたんぱく質などの固形成分濃度が濃いため、コクのあるしっかりとした味わいが楽しめます。
マンチェゴのチーズは食べやすくて、かつ旨味があり、滋味に溢れている感じがしました

画像からは見えにくいですが、昔は「エスパルト」という茅の一種を編んだ帯で成型していたため、独特の模様が付いているのが特徴です(今はプラスチックの型で模様を付けていますが)(圧搾タイプ)


スペイン羊のDOPチーズとしては、


Idiazabal(イディアサバル)…バスク地方中部、Roncal(ロンカル)…ピレネー山脈麓ロンカル渓谷

この2つは産地も近く、チーズ自体もとてもよく似ています。


しっとりソフトなTorta del Casr(トルタ・デル・カサール)などがあります

スプレッド状でやわらかな「Queso de la Serena」もスペインで人気No.1ということですが(トルタ・デル・カサールと似ています)、これも食べてみたかった!


DOPではありませんが、こちらも羊のチーズ(Queso de Oveja)
*「Oveja」は「羊」です



スペインには、温暖で乾燥した地中海沿岸地方を中心「山羊」のチーズもあり、DOPでは6が認められています。


Queso Ibores(イボレス)、          Queso de Murcia al Vino(ムルシア・アル・ビノ)

イボレスはスペイン南西部エストゥレマドゥーラ、ムルシアはアンダルシア地方の東側のもの。
ムルシアは表面を赤ワイン(ムルシア産ワイン)で洗っている山羊チーズで、ワインで洗わないDOPチーズ(Queso de Murcia)もあります。


山羊はスペイン語で「Cabra」(カブラ)

上の2つはどちらもDOP認定されていない山羊チーズですが、パッケージの絵とCabraの文字から山羊チーズであることがわかりますね。


こちらと右上の山羊チーズはフランスのサントモールとちょっと雰囲気が似ていますね


続きは【後編】


コメント (1)
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