麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第828回)

2023-10-07 08:09:39 | Weblog
10月7日

四コマ漫画は、結局20本ぐらい描いて、自分の編集している雑誌だけでなく、友だちのやっていた雑誌に載せてもらったりしました(一時無職だったときは、1本3000円ぐらいの原稿料も出ました)。編集長や友だちが本当におもしろいと思ってくれたのかはわかりません。このころ私が描きたかったのは、ほぼ「自意識過剰」からくる奇異な笑いであり、まだあまり他では見たことがなかったと思います(85~86年)。中で一番好きだったのは、自意識過剰とシュールを合わせたような漫画で、一コマ目で、ピラミッドを描き、二コマ目でその引きの砂漠に、ズーン、ズーンという音が響いている。三コマ目で、それが身長30メートルはあるブッダその人が歩いてくる音だとわかる(ブッダの仰角のアップ)。四コマ目で、ブッダがピラミッドに腰かけようとしてその先端に肛門を突かれ、「我痛」(実際は「痛我」と書いてレ点をつけている)と言う。そのインチキな漢文の訳として「やはり、痛いな。」という一行が入っている、というものです。ピラミッドに腰かけたら肛門が痛いだろうなと思いながら、それを確かめずにいられなくなったわけです。掲載時の本も、原稿もなくなってお見せできないのが残念ですが、それが自分としては傑作だと思っていました。その作品だけでなく、ほとんどはどこかにいってしまいました。今回上げたのは、まだ編集長に言われて書き始めて二作目か三作目だと思います。常におなかの具合が悪かった若いころ、こんな気持ちになったことが何度も何度もありました。隣の人が神父だか牧師だかになるのは、とくに意味はありませんが、「誰かこいつを救ってやれ」という祈りを入れたかったのかもしれません。かわいそうに。

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