麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第578回)

2017-08-27 20:12:25 | Weblog
8月27日

なんとなく、福田章二の「蝶をちぎった男の話」「喪失」を読みました。
40年前から持っているけど、最後まで読んだのは初めてかも。作品そのものへの理解が深まったのかはともかく、背景にある様々な古典文学の影をぼんやり感じとれるようになったのがうれしかったです。つまり、57歳にしてようやく作者の20歳時点の読書量に追いついたということ。笑えますね。いや、この場合、「やれやれ」というのが正しい感想でしょうか。
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生活と意見 (第577回)

2017-08-20 21:31:46 | Weblog
8月20日

「和解」に、主人公と父親との対立理由が(そのなりゆきが)書かれていないように、「暗夜行路」は、主人公が「一時はキリスト教的な禁欲主義を理想としながらその生き方に挫折したこと」が省略されている小説と考えればわかりやすいのではないか(現実には作者の、内村鑑三への傾倒と離反)。普通、小説なら、それを説明する部分が必要だと思いますが、志賀直哉には、そういう説明的な書き方が「埋め草」のように感じられてできなかったのではないか。「そのあたりの心情は『濁った頭』に書いているからそれを読んでほしい」というような気持ちもあるのかも。そんなことを考えました。

「完訳ファーブル昆虫記」が完結したようですね。これからおそらく集英社文庫に入るのだと思います。すごく楽しみです。ホームページで訳者の近影を見ました。すっかり年をとられていて、時間の流れを感じました。でも、偉業をなしとげて、きっと満足していらっしゃるはず。うらやましいです。
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生活と意見 (第576回)

2017-08-13 20:20:07 | Weblog
8月13日

あれこれ体のトラブルがあって、おじいさんとしての、「むなしいながらも落ち着いた時間」さえ手に入れることができません。読書も散漫。「暗夜行路」は四分の三でとまり、河出文庫で2年前に出ていたらしい(知りませんでした)ボルヘスの「幻獣辞典」(柳瀬尚紀訳)を手に入れて、ちょろちょろ読みました。この本が文庫になったのなら、ついでに「怪奇譚集」も文庫にしてくれればいいのに。でももしそうなっても、柳瀬さんが新しいあとがきを書くことはもうないんだなと思うと、さびしい気持ちになりました。
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生活と意見 (第575回)

2017-08-06 20:37:33 | Weblog
8月6日

今回の入院で変わったのは、電気を全部消して寝るようになったこと。ずっとどこかの明かりはつけて寝ていたのですが、真っ暗のほうがよくなりました。何十年の習慣も変わるものですね。やがてくる闇の世界に親近感がわいているのかもしれません。
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