麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第373回)

2013-03-30 22:19:53 | Weblog
3月30日

「異邦人」読了。
ユーモアと風景。あとの作品では失われていくもの。それが生き生きと訳されていて、すばらしいと思いました。訳文だけ新刊で出ればいいのに。本当にいい本です。ぜひ読んでみてください。

カミュは、手帖の中で、ヘンリー・ミラーを「汚らしい」と言っています。よくわかります。そう言うカミュも、そう言われるヘンリー・ミラーも、私は心から尊敬しています。

では。

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生活と意見 (第372回)

2013-03-23 11:59:23 | Weblog
3月23日


まったく偶然なのですが、カミュ「異邦人」の新訳が出ていることを知り、手に入れました。文芸(書店でのジャンル分け用語)の単行本ではなく、第三書房から出た語学の教材で「フランス語で読もう 異邦人」という対訳本。去年の10月に出た本です。もちろん、フランス語はなにもわかりませんが、訳文は、窪田啓作訳をそのまま現代の言葉に置きなおしたような簡潔さで、すばらしいです。ぜひ、見てみてください。私は、もったいなくて、すごくゆっくり読んでいます。

「異邦人」、「嘔吐」というと、文学部進学を決意させた――つまり、一生やくざな道に進むことを決めさせた――2つの原因といっても過言ではありません。今年はそういうところを自覚する年なのかもしれません。もちろん、ただ自分のために作り出したおとぎ話ですが。

もうひとつ、角川文庫の「不思議な少年44号」(マーク・トウェイン)をあと少しで読み終わります。なんという話か! 不思議な小説家ですね、この人は。ペシミストなのかロマンチストなのかよくわからない。あ。どこかのボンクラ自費出版作家もそうか。

では。

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生活と意見 (第371回)

2013-03-16 20:44:13 | Weblog
3月16日


鈴木道彦新訳「嘔吐」を頭から通読。とてもいいです。以前にも書きましたが、セリーヌの影響がどこにあるのかが白井訳よりよくわかりました。本当はもっとくだけた文章なのでは、と思いますが、フランス語のフの字もわからないので、試すこともできません。

やはり、サルトルはいい。とくにこの小説はすばらしい。

とにかく、自分には才能は限りなく少ないけど、顔を向けている方向はこのままでいい、と思いました。私の仕事を続けて死ぬだけです。

では。

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生活と意見 (第370回)

2013-03-09 21:25:13 | Weblog
3月9日


新書版・志賀直哉全集第10巻(随筆集二)を読了。前の巻を読み終えてから一年四カ月かかりました。

死ぬ前に1年だけ書くことに没頭したい。そのことが切実な、最後の願いです。実現しそうにはないですが。


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生活と意見 (第369回)

2013-03-02 14:52:06 | Weblog
3月2日


小泉八雲はいい。と思って学術文庫の他の著書を古本屋で買って少し読みました。でも、ふと年譜を読んだら、「長男にはアメリカで教育を受けさせたいと考えていた」と書いてあって、なにかがっかり。もちろん、そう思うこと自体はいいに決まってるわけですが、それならこれほど日本を清純な国だと持ち上げるなよ、という感じです。もし当時の日本に清純さが本当にあったとしたら、それは教育(学校だけでなく)の成果だろうに。結局「タイピー」や「白鯨」で主人公が人食い人種の清純さに感激するのとあまり変わらない感じで日本や日本人を見ていたのだろうな、とわかってしまう。キーン氏のように日本の文学を本当に愛している人とはまったく違いますね。それでも「怪談・奇談」の価値はなにも変わりませんが。

では。
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