麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第381回)

2013-05-27 03:13:15 | Weblog
5月27日


体調不良。

新潮社のドストエフスキー全集の創作ノート(Ⅱ)が、単独で安く出ていたので買いました。とてもおもしろいです。

では。


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生活と意見 (第380回)

2013-05-18 17:39:59 | Weblog
5月18日

ここ2週間で「饗宴」を再読しました。今回は、鳥影社のものを中心に、いくつかの訳を比較しながら読みました。とてもおもしろかったです。同じことをどこかで書いたような気もしますが、年をとればとるほど、対話編のすばらしさがわかります。

昔高校の倫社で初めて習ったときはそうではありませんでした。まず、教師が嫌いだったので、印象は最悪。そういえば(これもどこかに書いたか…)倫社のテストのとき、次の哲学者がどういう思想をとなえたか書け、というような問題があって、ソクラテスやデカルト、カントなどの名前が(カントはいなかったかもしれません)並んでいました。私は、それぞれにいちおう覚えていることを書き、その最後にすべて「~という無意味な思想」と書き加えました。100点満点で4点でした。

若い時は誰でも、たとえばソクラテスへの賛辞「あの人は服装にも、人の容姿にもとらわれない。その人の本質しか見ていない」などに対して、「そんなの当然じゃないか。俺だってそうだ」などと対抗意識を燃やして思ってしまう。ソクラテスのように人の本質だけを見て清貧に生きるのは簡単なことだと思う。実生活を経験していない強みで。自分はバカな虚栄心や虚飾につまずかされることはないと思ってしまう。ところが、実際成人して世俗に出てみれば、自分の暮らしぶりを自慢したいようなくだらない気持ちや、虚飾のための嘘や、あげく虚栄のために子供を有名校に行かせたいなどという欲望にとらわれ右往左往している自分に気づく。というか、それだけが自分のすべてになっている。本質や清貧どころではない。だが、それをやめられない。やめたら女房に怒られるし、そういうものをすべて捨てて生きたら、みんなに笑われるから。――ソクラテスのように生きるのなんて簡単だ。そう言った若者はいつ死んだのか。若者はなぜ何千年と変わらないくだらない大人の一員になったのか。

もちろん、ソクラテスにはほど遠いとしても、たぶん、私はそこまで大人にはなっていないと思います。その証拠に、変色したシャツを着て毎日、人に笑われていますから。とても光栄です。

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生活と意見 (第379回)

2013-05-13 01:25:48 | Weblog
5月13日


学生時代に買った「ランボー全集/雪華社」の書簡を通読しました。とてもよかったです。

ひそかに読み進んでいる潤一郎ラビリンスですが、5巻まできました。「自画像」と「少年の王国」の巻がとくに好きです。

では、また。


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生活と意見 (第378回)

2013-05-04 23:58:44 | Weblog
5月5日

以前書いた、新訳文庫「ツァラトゥストラ」に対する評価を修正しようと思います。とてもいい翻訳だと思います。読み直してみて、とくに第3部は、この訳が内容に合っていると感じました。

「ツァラトゥストラ」全体への私の感想は(昔から)、「第1部が核心で、ほとんどすべてであり、第2部~第4部は余熱」というものです。もっといえば、第2部からは、ニーチェは自分自身のコピーをやっているミュージシャンのように感じます。初めはものすごいエネルギーで無我夢中で斬新なアルバムを創り出したが、その出来がいいことに気づき、何度も自賛しながら聴くうちに「自分らしさ」を発見してしまい、その線に沿って何枚もアルバムを作っていくような。「いかにもピンクフロイドらしいピンクフロイド」という感じ。また、ドン・キホーテの前編と後編のように、後編が前編のメタになっているともいえるでしょう。でも、結局のところ、自分らしさをコピーし続ける人はつぶれていく。ニーチェのような天才もその例外ではなかった、と思います。

もちろん、これはただ、全体を最初から考え抜かれたものとして神託のように読もうとするのはどうか、と言いたいだけで、ツァラトゥストラが私にとってものすごく大事な本であることは昔も今も同じです。

では。
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