麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第707回)

2020-08-23 21:49:58 | Weblog
8月23日

なんとなく思いついて、イッポリートという名の王子が不運な死を遂げる、ラシーヌの「フェードル」を読みました。が、「白痴」のイッポリートとはどうやらなんの関係もないようです(ドストエフスキーは登場人物の命名にすごくこだわる作家なので、イッポリートを重要視するわけを知るヒントが「フェードル」にあるかもと考えたのですが)。

ちくま文庫から「現代マンガ選集」全8巻が刊行中です。第1巻「表現の冒険」は、「ねじ式」が二色で収められていたのですぐに買ったのですが、続く2冊は立ち読みしたものの買うのは保留にしていました。今月出た「異形の未来」(SF集)は、3冊ぶりに目次を見てすぐにレジに持って行きました。半分以上読んだことのある作品でしたが、とてもいい。諸星大二郎の「僕とフリオと校庭で」など、すでに古典といっていいマンガばかり10編。一家に1冊の必携本だと思います。
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生活と意見 (第706回)

2020-08-16 21:20:18 | Weblog
8月16日

先週の日曜の夜、亀山訳「白痴」第三部を読み終わりました。何度も書いているようにイッポリートの長い告白にはちょっとうんざりしましたが、やはりすごい小説だとあらためて思いました。いまは、第四部の三分の一あたりです。飯を食うための仕事が忙しく、なかなか進みません。この暑さで脳がゆで上がっているせいもありますが。
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生活と意見 (第705回)

2020-08-02 20:23:47 | Weblog
8月2日

「白痴」第二部読了。亀山訳、とてもいいです。ムイシキンとロゴージンの会話、また、レーベジェフの別荘のテラスの場面も、これまで読んだ木村訳、望月訳よりよく理解できたと思います。しかし、第二部の内容についていえば、やはりイッポリートにこれほどのページを費やす必然性は依然として理解できないですね。人間は生まれた以上誰でもいつかは死ぬ死刑囚ともいえるのだから、少年は死刑囚の象徴なのか、とむりやり考えてもしっくりこない。主要登場人物の意味についてこんなに何度も悩むのはイッポリートについてだけです。また、紙の本にして約300ページの間、一度もナスターシャが直接には場面に登場しないというのもどうでしょうか。私などは少なくとも、第一部で頭の中に描かれた彼女のイメージがかなり薄れていくのを感じました。
でも、いい訳です。ぜひ読み直してみてほしいと思います。
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