麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第587回)

2017-10-29 22:55:15 | Weblog
10月29日

身体的欲望がすべて。生まれてすぐは。意識はそのつどほしいものとまったく同じ。よく、相対性理論の啓蒙書の中で相対性原理を説明するところに出てくるように、等速直線運動を続ける人は、その系から外を見ない限り自分が動いていると知ることはできない。それがこの場合たとえになるかどうかわからないが、意識が欲望の対象とぴったり重なっている間は自分が生きているとは確認できない。というか、自分は存在しないし、世界もまた存在しないというほうが正しいだろう。だから思い出は残らない。意識を意識する意識の余裕がない以上記録係は存在しないのだから。相対性原理の話はなにかのたとえになったのか。わからない。雰囲気としてはなったかもしれない。どうでもいいが。この文章は人間がまったくとりとめのない存在であるというところを示そうとして書くのであり、なにかうまくまとめようとかいう意図はない。ないのだ。俺よ。自由なのだ。俺は。奴隷だから言い聞かせるのだが。なんの意味もないのだ。
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生活と意見 (第586回)

2017-10-22 20:15:03 | Weblog
10月22日

岩波文庫から「語るボルヘス」が出ました。書物、不死性、エマヌエル・スヴェーデンボリ、探偵小説、時間の5テーマについての講演。「探偵小説」以外はすでに読みました。不死性では、「パイドン」が取り上げられていてうれしかったし、「スヴェーデンボリ」は、その生涯と思想の要約になっていて、初めて彼の全体像が見えたように思いました。「創造者」とこの本は、これからも何度も繰り返し読んで、考えることと思います。
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生活と意見 (第585回)

2017-10-15 21:53:33 | Weblog
10月15日

史記本紀を頭から順番にちゃんと読む。を続けています。

「謹訳 源氏物語」二巻が出ました。すでに半分以上読みました。ここにきて、大塚訳(ちくま文庫)の「ひかりナビ」がとても役に立ちます。こんな環境が高校生のころあったら……。まあ、それでも同じか。どうせ大学では哲学方向に行ったろうし。

第三文明社版の(つまり元レグルス文庫)「マハーバーラタ」が、ハードカバーになって復活しました。三省堂にあったので保存版と考えて上中下三冊まとめて買ってきました。前のものは写植で、今回はDTPになっていて活字が大きく、そのぶんページが増えています。結局、この本が一番心に残ります。原著者がインドの人だから、というのが(前にも書きましたが)一番大きいと思います。なんにしてもすばらしい物語だと思います。

死んだように生きるのが哲学者の理想だと、「パイドン」の中でソクラテスは言っています。すっきりして、とてもいい。ニーチェはソクラテスがニヒリストだといって否定するのですが、それは、コリン・ウィルソンがサルトルを同じ理由で受けつけないのと同じこと。二人には、「9の生き方」(これは私自身の言葉です)がわからないのですね。位が変わる手前の気分で生きること。位が変わってしまったら同じことの繰り返しが待っているだけかもしれないこと。「なんて退屈なんだ。」(ベケット「マロウンは死ぬ」)と叫ぶ世界しかないのかもしれないということ。女の人は繰り返しが大好きで飽きないので位が変わることばかり求めますが、男にそれは耐えられない。「9」が最も大事だと思います。――「ツァラトゥストラ」も「アウトサイダー」も実際は「9の生き方」のバイブルになっている、と私は思います。ただ、著者二人はそう自覚していないというだけのこと。

適当に書いたわけではないけど、わかりやすく説明する元気がありません。

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生活と意見 (第584回)

2017-10-09 18:41:34 | Weblog
10月9日

体調不良のうえに暑い。自分の仕事をするという夢はもうほんの1時間もかなえられそうにありません。無意味な毎日。無意味な時間。
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生活と意見 (第583回)

2017-10-01 21:06:54 | Weblog
10月1日

土曜日は飯を食うための仕事。5月からずっと暑かったのが終わって、ようやく少し老体にやさしい季節になりました。すでに表紙は作ってある、電子書籍版短編集の編集・校正の仕事をはじめようと思います。秋から冬にかけて、少しでも自分自身でいられる時間があれば、と願わずにいられません。ちくま版「史記」を少し読みました。
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