麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第493回)

2015-07-26 20:26:05 | Weblog
7月26日

「白鯨」、いつも通勤電車で読むのですが、このところすごく混んでいてなかなか読めません。学生は夏休みで人口密度は下がっているはずなのになぜ。――寝苦しい夜に、自作の文庫本をざっと読み返しました。やっぱり自分を救ってくれるのは過去の自分のまじめな仕事だけですね。しつこくてすみませんが、あらためてそう思いました。
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生活と意見 (第492回)

2015-07-21 00:25:01 | Weblog
7月21日

全体で900ページくらい。現在その三分の二まで来ましたがまだ白鯨は現れません。すごい本ですね。創作はどこまでも自由だ、ということをいつも思い出せてくれる。(内容はもちろんのこと)それだけでも私にとっては貴重な作品です。
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生活と意見 (第491回)

2015-07-13 00:00:44 | Weblog
7月13日

20年前に買った小さなギターに何年かぶりに弦を張り弾いていました。聞こえが悪くなっているのでボリュームは以前にまして小さく感じられますが、とてもいい音。3万9800円とは思えないくらい。元々高円寺にあったギター屋の作ったオリジナルギターで、その店はもうなくなったようです。

「白鯨」、ゆっくり、流されるように読んでいます。もちろん傑作で、自分にとってとても大事な本であることに変わりないのですが、やはり「若さ」を感じますね。原光訳を一週間で読み切ったのは37歳・無職のときで(メルヴィルがこれを書いたのは31~32歳だったと思います)この作品を読むのにふさわしい年齢・環境だったと思います。ちょうど「風景をまきとる人」の下書きをはじめたころで、表紙布張りのノートに毎日たくさん言葉を吐き出していました。誰とも会わず、ただ読んで、書いて、ぶらぶらしているだけでしたが、それこそ自分の理想の状態なのでとても充実していました。――数カ月後にはまた生活のための仕事が始まり、約5年間、メモを書き付けるくらいしかできなくなりました。本当は、まだ若さが残っていたあの時期、あのまま一年くらい書くことに専念できるだけの金銭的余裕がほしかったですね。

かなり回り道をしましたが、もうすぐまた今昔物語に帰っていけるような気がしています。今昔は、「若さ」より「苦さ」が心地よいいまの自分にとてもしっくりくる本です。
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生活と意見 (第490回)

2015-07-05 22:15:33 | Weblog
7月5日

「白鯨」読んでいます。読めば読むほどいい訳。なんといっても「海洋冒険小説」という外枠を踏み外さず、哲学的な叙述もあくまでその一部として訳してある、語り口の統一感がすばらしい。これはかなりすごい技だと思います。国書刊行会のメルヴィル全集は坂下昇個人全訳で、もちろん大した仕事なのですが、この方の訳文は「白鯨」を含め、ちょっと難しくなりがちです(「タイピー」(福武文庫)は坂下訳で読みましたが)。以前挑戦して挫折した難物「ピエール」も私が知る限り坂下訳しかないのですが、誰か新訳文庫とかでもう少しわかりやすく訳してくれないものか。中短編は原光訳で読み、満足しているので、どなたかぜひ「ピエール」をさほど苦労なく読めるようにしていただきたい。――そんなことを考えながらモビーディックを追っています。
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