11月26日
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
来週には、またひとつ年をとってしまいます。
いったいどうしたらいいのか。
わからないので、とりあえず、卒業論文を打ってみることにしました。
まったく論文の基礎も学ばずに書いたし、主査の先生の助言も一度も受けないで書きました。(だって研究者になれるわけでもなく、論文を書くなんて、どうせそのとき一度きりのことなのだから好きなように書きたかったのです。)
普通、テーマは絞り込んで、たとえば「ハイデッガーの『世界-内-存在』という構造に見るキリスト教的側面について」(でたらめです)などというふうにしますよね。しかし、私の書いたのは「現代における人間的意味」というタイトルで、要するにこれは、「人生の意味とはなにか」というテーマです。(もっといえば、宗教のない国に金以外の価値観はあるのか、というものです)
気持ちがいいほど、若くてばかばかしいですよね。でも、それは当時の私にとって一番身近で重要な問題だったのです。いま、論文の途中から打ち始めたので、打ち終わったら、頭から少しずつここにあげてみようかと思います。私の「地の文」はどうでもいいとして、引用してあるサルトルやカミュの戯曲などは、あらすじつきで読めるので、それなりおもしろいかもしれません。(いまでは新潮の「世界文学」シリーズ以外では簡単に読めなくなっているものです。)
私がいかに論理的思考に弱く、感情に流されやすく、バカな人間なのかが露呈していますが、まあなにもかくすものはないので、よければ読んでみてください。
いま、思い出しましたが、論文に取りかかる前、私も、一時的には、テーマを絞り込んで書くのがいいのでは、と思ったことは思ったのです。でも、きっと長くなるその作業の途中で飽きてしまうのではないか、ということがすぐに頭に浮かびました。私の最大の敵は、飽きっぽさです。なにかを続けるには、しばらく放っておいてもまた書きたくなるくらいのテーマでなければダメだと思いました。だから、結局「生きる意味」について書こうと思ったのです。
「風景をまきとる人」のときも、なにかずっと書き続けられるようなテーマにしようと思いました。「うまく仕上げる」ことを目標にしてしまったら、私は絶対に作品を仕上げられないと思ったからです。工芸品のようなものを作るのは私にとって興味のないことなので。
しかし、それはまた、私の限界でもあるのでしょう。「一作一作、腕を上げていって、最後に書きたいことを書け」というふうにできたらいいでしょうが、きっとせっかちなんですね。
☆
ちくま文庫の日本文学全集が、新装で出ています。またもや、芥川龍之介を買ってきました。このセレクトは、「人生を考える」というテーマに沿ったのではないか、と思われる短編集です。なんせ、巻頭が「トロッコ」ですからね。これを中学1年で光村図書の教科書で習ったとき、欄外の注に「塵労=生きるための苦労」とあるのを見て、自分の将来への暗いイメージにとらわれたのをはっきりおぼえています。
では、また来週。
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
来週には、またひとつ年をとってしまいます。
いったいどうしたらいいのか。
わからないので、とりあえず、卒業論文を打ってみることにしました。
まったく論文の基礎も学ばずに書いたし、主査の先生の助言も一度も受けないで書きました。(だって研究者になれるわけでもなく、論文を書くなんて、どうせそのとき一度きりのことなのだから好きなように書きたかったのです。)
普通、テーマは絞り込んで、たとえば「ハイデッガーの『世界-内-存在』という構造に見るキリスト教的側面について」(でたらめです)などというふうにしますよね。しかし、私の書いたのは「現代における人間的意味」というタイトルで、要するにこれは、「人生の意味とはなにか」というテーマです。(もっといえば、宗教のない国に金以外の価値観はあるのか、というものです)
気持ちがいいほど、若くてばかばかしいですよね。でも、それは当時の私にとって一番身近で重要な問題だったのです。いま、論文の途中から打ち始めたので、打ち終わったら、頭から少しずつここにあげてみようかと思います。私の「地の文」はどうでもいいとして、引用してあるサルトルやカミュの戯曲などは、あらすじつきで読めるので、それなりおもしろいかもしれません。(いまでは新潮の「世界文学」シリーズ以外では簡単に読めなくなっているものです。)
私がいかに論理的思考に弱く、感情に流されやすく、バカな人間なのかが露呈していますが、まあなにもかくすものはないので、よければ読んでみてください。
いま、思い出しましたが、論文に取りかかる前、私も、一時的には、テーマを絞り込んで書くのがいいのでは、と思ったことは思ったのです。でも、きっと長くなるその作業の途中で飽きてしまうのではないか、ということがすぐに頭に浮かびました。私の最大の敵は、飽きっぽさです。なにかを続けるには、しばらく放っておいてもまた書きたくなるくらいのテーマでなければダメだと思いました。だから、結局「生きる意味」について書こうと思ったのです。
「風景をまきとる人」のときも、なにかずっと書き続けられるようなテーマにしようと思いました。「うまく仕上げる」ことを目標にしてしまったら、私は絶対に作品を仕上げられないと思ったからです。工芸品のようなものを作るのは私にとって興味のないことなので。
しかし、それはまた、私の限界でもあるのでしょう。「一作一作、腕を上げていって、最後に書きたいことを書け」というふうにできたらいいでしょうが、きっとせっかちなんですね。
☆
ちくま文庫の日本文学全集が、新装で出ています。またもや、芥川龍之介を買ってきました。このセレクトは、「人生を考える」というテーマに沿ったのではないか、と思われる短編集です。なんせ、巻頭が「トロッコ」ですからね。これを中学1年で光村図書の教科書で習ったとき、欄外の注に「塵労=生きるための苦労」とあるのを見て、自分の将来への暗いイメージにとらわれたのをはっきりおぼえています。
では、また来週。