麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第329回)

2012-05-28 00:55:49 | Weblog
5月28日


「西遊記」読了。

これもある意味、ドン・キホーテだと感じました。
中野美代子訳は途中で挫折したので断言はできませんが、おそらく今回の本は、エピソードとしてはなにも省略していない感じです。退屈な繰り返しもそのまま再現されて、天竺まで14年間という時の経過を感じさせます。おもしろかったです。

風邪が治りません。

では、また来週。

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生活と意見 (第328回)

2012-05-19 19:52:40 | Weblog
5月19日


風邪をひいてずっと寝ています。

邱永漢さんが亡くなりましたね。
じつは、最近、邱さんの「西遊記」を、文庫と2007年の新版で(両方古本で)そろえて読んでいました。いま6巻目です(全8巻)。新版は文字が大きくて読みやすいけど、かなりおとなしい作品に書き改められています。文庫のほうが圧倒的におもしろい。ーーなどと思っていたら、亡くなったというニュース。偶然ですがちょっと驚きました。

お会いしたことも担当だったこともないですが、担当だった同僚に手書きの生原稿は見せてもらったことがあります。


ボルヘス「プロディーの報告書」出ました。

もうひとつ新刊情報を。
文遊社から、ヘンリー・ミラー「ビッグ・サーとヒエロニムス・ボスのオレンジ」の新版が出ました。テキストは、昔の全集の補足版ですが、造本がすばらしいです。



では、また来週。

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生活と意見 (第327回)

2012-05-12 21:55:56 | Weblog
5月12日


風が冷たい一日。

井上究一郎「かくも長い時にわたって」(プルースト論集成)を古本屋で買いました。600円。

「自分の声」(文体)を見つけるまでのすさまじい戦い。
一度完全にあきらめたところからの急浮上。
環境的にはまったく違うけれども、プルーストの戦いもヘンリー・ミラーの戦いも成り行きは似ています。2人とも「もうダメだ」と本気で覚悟したことで力みが取れて自分の声が聞こえてきた……のでしょう。現実には、それを見つけられなかった作家が99%、いや99.99%でしょう。見つけられなくてもその時代だけ評価される有能な作家にはなれる。でも、よくできているが「誰々みたい」なものはやがてすべて消え去る。そうして自分の声を見つけた人の作品だけが残っていく。


無用無能の男には関係ない話です。
すみません。


では、また来週。
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生活と意見 (第326回)

2012-05-05 11:31:06 | Weblog
5月5日


無料小冊子「岩波書店の新刊」によると、岩波文庫から「ブロディーの報告書」が出るようです。きっと岩波文庫の中では、ボルヘスがヒットしているんでしょうね。うれしいのはうれしいけど、岩波文庫に入れられたとたん、みんないい子に見えてくるのがちょっといやですね。なんというか、その作品が本当に盛りのときは「反社会的なところがある」などと分別くさいことを言い、いっさい援助しないで、人気が定着し、古典のように見えてきてから「きみのことは最初から見所があると思っていたよ」と近づいてきて、利を自分のものにしようとする。そんな感じ。ボルヘスが前衛作家なのを忘れそうです。でも、さすがにナボコフは入らないでしょうね、岩波には。

では、また来週。
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