6月28日
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「創造者」も、「自由への道」と同時に岩波文庫から出ました。作品集を作ろうとして書いたものではなく、部屋の中を探して見つかった文を集めたものだそうで、「内的必然性」によって生み出された短編や詩ということです。
レベルはAとZほど違いますが、私の「画用紙の夜・絵本」は、同じような経緯でできたもの。作品の大半は、一気に書き上げたもので、そのあとほとんど一文字も直していません。もちろん、初めから誰かに見せようと思って書いたものでもありません。
ボルヘスは、ジョイスの「ユリシーズ」について、「私なら、時間をかけてそれを書くより、そのような本がすでにあるという設定で、その架空の本への書評という形の創作をするだろう」と、どこかで言っています。ただの読者としては、もちろん、「ユリシーズ」を実際に書いたジョイスも好きだし、ボルヘスの態度も好きです。「伝奇集」には、その態度が具体的に適用された傑作が何篇もおさめられています。
古めかしくて評価の定まったものにしか手を出さないのかと思っていたら、最近の岩波文庫は少し変わりましたね。前にもここで書いた、幻の大澤正佳訳「ユリシーズ」も、文庫に入ればうれしいです。ついでに「特性のない男」なども入ったらよりすばらしい。
☆
では、また来週。
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「創造者」も、「自由への道」と同時に岩波文庫から出ました。作品集を作ろうとして書いたものではなく、部屋の中を探して見つかった文を集めたものだそうで、「内的必然性」によって生み出された短編や詩ということです。
レベルはAとZほど違いますが、私の「画用紙の夜・絵本」は、同じような経緯でできたもの。作品の大半は、一気に書き上げたもので、そのあとほとんど一文字も直していません。もちろん、初めから誰かに見せようと思って書いたものでもありません。
ボルヘスは、ジョイスの「ユリシーズ」について、「私なら、時間をかけてそれを書くより、そのような本がすでにあるという設定で、その架空の本への書評という形の創作をするだろう」と、どこかで言っています。ただの読者としては、もちろん、「ユリシーズ」を実際に書いたジョイスも好きだし、ボルヘスの態度も好きです。「伝奇集」には、その態度が具体的に適用された傑作が何篇もおさめられています。
古めかしくて評価の定まったものにしか手を出さないのかと思っていたら、最近の岩波文庫は少し変わりましたね。前にもここで書いた、幻の大澤正佳訳「ユリシーズ」も、文庫に入ればうれしいです。ついでに「特性のない男」なども入ったらよりすばらしい。
☆
では、また来週。