麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第408回)

2013-11-30 10:33:52 | Weblog
11月30日


新宿西口地下の古本市で、秋山英夫著「人間ニーチェ」(教養文庫/昭和43年発行/第30刷)を400円で買って読みました。同文庫の秋山英夫編訳「ツァラトゥストラ」を手に入れてからずっと読みたいと思っていた本。4時間かけて読了。まるでひとつの創作のような素晴らしい本でした。昔から、本に関しては、ほしいと思っていたら手に入ることが多くとてもラッキーだと思います。あくまで本に関してだけですが。読みながら、いま手を入れているものの次に書く予定の作品の内容が並行して頭の中でまとまっていきました。雰囲気だけですが。誰にも望まれていないことですが。
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生活と意見 (第407回)

2013-11-23 15:09:51 | Weblog
11月23日


原稿に手を入れていると集中して、あっという間に時間が過ぎていきます。結局五行ぐらいしか直していないのに半日たっている。金のかからない遊びとしても重宝します。ワードひとつあればほかに何のアプリもいらない。白紙が最高のゲームのスタート画面だと思います。

岩波文庫から「ブレイク詩集」が出ました。
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生活と意見 (第406回)

2013-11-18 00:10:04 | Weblog
11月18日


体調不良で寝ています。
すみません。

買っても読んでもいないけど、角川文庫から「夏の夜の夢」の新訳が出ています。

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生活と意見 (第405回)

2013-11-09 18:54:37 | Weblog
11月9日


二日前、書店に行って驚きました。なんと「ピグマリオン」の新訳が新訳文庫から出ている……。先週書いたと思ったらいきなりでした。もちろん、買ってきてすでに読みました。すごく読みやすかったです。興味のある方はぜひ。

他には、最近岩波文庫の「ルバイヤート」を繰り返し繰り返し読んでいます。これも20歳のころ、まだカバーの付いていないものを買って、一度ほとんどバラバラになったのをボンドで製本し直したもの。いまは、ここに書いてあること以外なにも言いたいことはありません。すべてこのすぐれた詩人が歌ってくれています。

「自分が来て宇宙になんの益があったか?
 また行けばとて格別変化があったか。
 いったい何のためにこうして来たり去るのか、
 この耳に解きあかしてくれた人があったか?」

「愚かしい者ども知恵の結晶をもとめては
 大空のめぐる中でくさぐさの論を立てた。
 だが、ついに宇宙の謎には達せず、
 しばしたわごとしてやがてねむりこけた!」

「あの人たちの言ったことはただの風だよ。」

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生活と意見 (第404回)

2013-11-03 08:28:07 | Weblog
11月3日


バーナード・ショーのことを書いたので、少し思い出を。ショーは、少なくとも日本では、いまや完全に忘れられた作家です。文庫本は一冊もないし(数年前に「人と超人」が岩波文庫で重版になったのが最後)、単行本も見かけません。これは、しかし、いま現在というだけでなく、私が学生だった80年代でも似たようなものでした。当時も十分、忘れられていたのです。

でも、「人と超人」だけは、岩波文庫の普通のラインナップだったし、白水社から出ていた一人一冊の戯曲選集「バーナード・ショー名作集」(ほかには、モリエール、イプセンなど)は、どこの新刊書店でも目に入るところにありました(20歳のころ買ったのをいまも持っています)。また、ご存知の方も多いと思いますが、映画「マイ・フェア・レディ」は、ショーの「ピグマリオン」という作品をもとにしたもので、すでに当時「なつかしの」だったとはいえ、名画座なんかではこの作品をよく上映していましたから、ショーの皮肉に満ちた作品の雰囲気が、世の中の空気の中に流れ込む機会もまだありました。

私がショーを知ったのは、コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」です。コリン・ウィルソンは、ショー信者といっていいくらい熱狂的な読者だったようで、ショーに最大級の賛辞をささげています。私もその影響を受け、古本屋でショーに関する本を探してよく読みました。そうして、読んでいくと、なんとなくコリン・ウィルソンの描いている人物とは違うような気がしましたが、やはり、その戯曲は大好きになりました。とくに「人と超人」は、一時期、私のバイブル的な本になって、どこへ行くのにもポケットに突っこんでいました。

「人と超人」は当時の私にとって、いわばツァラトゥストラの解毒剤とでもいったような存在でした。と、こんなことを書いてもわかりにくいのは承知のことですが、当時の私はちょっと神経衰弱気味になっていて、ツァラトゥストラに書いてあることーーつまり、超人になるよういますぐ踏み出さない限り生きている意味はなにもないーーを、頭だけでなく、心で、もっといえば肉体的に感じていました。それくらい世界が、自分が無意味に思えたのです。そんな私にとって「人と超人」は、「まあそう感じるのも当然だ。男とはもともとこっけいな生き物で、超人とかわけのわからない観念にしがみつくしか安心するすべがないのだから」といった一歩引いた見方を提示してくれ(当時の私はなお反発を持ちながらそれを認めたのでしたが)ツァラトゥストラが(ニーチェ自身を慰める)ひとつの寓話にすぎないということを、本を開くたびに思い出させてくれました(しかし、そこから、己のこっけいさなどまったく顧みず観念に身をささげるドン・キホーテのすばらしさを知るまでには10年かかりましたが)。

「ピグマリオン」は、恋愛劇ではありません。「マイ・フェア・レディ」ではそれがハッピーエンドの恋愛劇になっていますが、原作を読めば最後に二人が結ばれるなんてありえないことがよくわかります。



やっぱり若いころの読書などを思い出すと、若い心の形を思い出しますね。



「魔法の樽」読了。最高。
古本屋で昭和35年発行の啄木選集(春秋社)を700円で買いました。
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