10月29日
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
「日はまた昇る」を四回目、読了しました。
今回は、以前からもっていた旺文社文庫で読みました。
この訳がすごくいい。守谷陽一さんという方で、同じ旺文社文庫でフィッツジェラルドの「雨の朝、パリに死す」を訳された方です。現在私が決定訳だと思っている、金原訳「武器よさらば」と、自然につながるようなリズムと言葉づかい。味読できました。釣りの日の描写など圧巻です。
ヘミングウェイ、やっぱりいいですね。私は魚には触るのも嫌ですが、物語の中ではリアルに釣りをしていました。酒もそうです。実際には飲めませんが、あびるほど飲んで酔っ払いました。
ただ、今回は、年のせいかブレットのような女をちょっとめんどくさく感じてしまいました。もはや興味もないし、関わりたくもない感じ。でも、若い時はブレットにも共感できたのです。ジェイクの気持ちもそのまま理解できました。しかし、ジェイクはヘミングウェイの創作した人間。リアリティは完璧ですが、作者とはズレているはずです。でも、それでいい。物語の世界は完結しているから。
この本を読むたびに、書くというのはすごいことだ、と感じます。自分の脳の中におさめられた風景や世界の雰囲気を、これだけ見事に紙とインクで封じこめることができるなんて。実際魔法のようです。
書いていると思い出しました。「武器よさらば」で主人公二人が、なかなか離れることができずに夜の駅の周りをただ歩きまわる場面。まるで自分の経験のように思い浮かべられる。これが要するに天才ということなのでしょう。文学理論など死ね、という感じです。
☆
昨日、神保町の古本祭りに行きました。
すごい人。すごい量の本。
向かいにマクドナルドが見える靖国通りの曲がり角で、中公「世界の文学・新集」の、原卓也訳「戦争と平和」(トルストイ・全三巻)を買いました。800円。「一度も文庫になったことがなく、現在読むことができない原卓也訳戦争と平和。それを、『まだ書店が捨て価格にしていない800円という値段』をお買い得と理解して買っていく俺ってシブいなあ」と、マニアックな自己満足を感じながら、ひとり、会場を振り返り、「ふっ」。キザな笑いも気持ち悪い。
☆
では、また来週。
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
「日はまた昇る」を四回目、読了しました。
今回は、以前からもっていた旺文社文庫で読みました。
この訳がすごくいい。守谷陽一さんという方で、同じ旺文社文庫でフィッツジェラルドの「雨の朝、パリに死す」を訳された方です。現在私が決定訳だと思っている、金原訳「武器よさらば」と、自然につながるようなリズムと言葉づかい。味読できました。釣りの日の描写など圧巻です。
ヘミングウェイ、やっぱりいいですね。私は魚には触るのも嫌ですが、物語の中ではリアルに釣りをしていました。酒もそうです。実際には飲めませんが、あびるほど飲んで酔っ払いました。
ただ、今回は、年のせいかブレットのような女をちょっとめんどくさく感じてしまいました。もはや興味もないし、関わりたくもない感じ。でも、若い時はブレットにも共感できたのです。ジェイクの気持ちもそのまま理解できました。しかし、ジェイクはヘミングウェイの創作した人間。リアリティは完璧ですが、作者とはズレているはずです。でも、それでいい。物語の世界は完結しているから。
この本を読むたびに、書くというのはすごいことだ、と感じます。自分の脳の中におさめられた風景や世界の雰囲気を、これだけ見事に紙とインクで封じこめることができるなんて。実際魔法のようです。
書いていると思い出しました。「武器よさらば」で主人公二人が、なかなか離れることができずに夜の駅の周りをただ歩きまわる場面。まるで自分の経験のように思い浮かべられる。これが要するに天才ということなのでしょう。文学理論など死ね、という感じです。
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昨日、神保町の古本祭りに行きました。
すごい人。すごい量の本。
向かいにマクドナルドが見える靖国通りの曲がり角で、中公「世界の文学・新集」の、原卓也訳「戦争と平和」(トルストイ・全三巻)を買いました。800円。「一度も文庫になったことがなく、現在読むことができない原卓也訳戦争と平和。それを、『まだ書店が捨て価格にしていない800円という値段』をお買い得と理解して買っていく俺ってシブいなあ」と、マニアックな自己満足を感じながら、ひとり、会場を振り返り、「ふっ」。キザな笑いも気持ち悪い。
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では、また来週。