6月5日
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
岩波文庫からボルヘスの「七つの夜」が出ました。
すでに読みました。すばらしい本。反感を買うのを承知でいえば、小林秀雄とは対極の、平明で、深く、心をゆさぶられる見事な評論です。プルーストの「読書について」などを自然思い出します。
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同じく、岩波文庫から「失われた時を求めて」の2巻が出ました。
半分ほど読みました。細かい部分は今回の訳がいいと思うのですが、やはり井上訳のほうが頭にすっと入ってくるのはなぜでしょう。とくにヴァントゥイユ作曲のソナタを聴いたときのスワンの心情(もちろんそれはプルーストの音楽の感じ方ですが)は、井上訳のほうが、プルーストが書こうとしている現象をより正確にとらえているような感じがします。でもなんにしても、すばらしい。「コンブレー」で挫折した方も、「スワンの恋」を読んでみてはいかがでしょうか。ここだけ独立して読めるので。
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なんでそんなことを考えたのか忘れましたが(たぶん「七つの夜」で宗教の話を読んでいたからだと思いますが)、例によって「あなたの宗教は?」という自分への質問が生まれ、それに対して即座に、「すたこらさっさ教」と答えていました。その聖句ないし呪文はこうです。「じゃ」あるいは「じゃあね」。言った瞬間に楽になれること請け合いです。
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では、また来週。