麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第765回)

2022-05-30 06:14:38 | Weblog
5月30日

とてもひさしぶりに、ショーを読みました。「分らぬもんですよ」。
「人と超人」の習作のような家庭劇。家族の不和を終わらせるべく雇われた弁護士のせりふ。

「ええ、そうですとも、結婚は皆な愚かなものです。生れるのが愚かであり、結婚するのが愚かであり、生きているのが愚かであり、而して死ぬのが賢明であります。」

いかにもショーらしいセリフ。この、結婚をすることになる若い、一見進歩的な女が読んでいるのがショーペンハウアーだという伏線がこのせりふに結びついています。
おもしろかったです。
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生活と意見 (第764回)

2022-05-15 22:04:11 | Weblog
5月15日

すみません。先週、文庫「風景をまきとる人」の余りを版元がネットに出してくれているようだと書きましたが、少なくともアマゾンの場合、間違いです。古書店からの出品です。

全体的に体調が悪くて憂うつです。

ものすごくゆっくりですが、新しい長編のメモを書いています。まあ、完成することはないでしょうが。書く以外に本当の楽しみはないので。あ。といいながら今日は2時間ギターを弾いていました。その二つですね。ほかはなにもありません。天気がはっきりせず、それも憂うつです。
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生活と意見 (第763回)

2022-05-08 21:41:49 | Weblog
5月8日

三省堂神保町本店最後の日。行ってきました。さすがに人が多かったです。フィネガンズウエイクではないけど、にぎやかな葬式という感じ。去年の年末から、これで三回目の葬式列席。一回目は、昔よく行った、近所の小さなレストランが60年の歴史を閉じたとき。次は、前にも書いたことのある、30年以上通い続けた散髪屋さんが、40周年を迎えると同時に店を閉めたとき。そして今日です。自分の葬式を少しずつやっているのと同じことだな、と感じます。実際に自分の一部が死んでいくわけだから。本当は記念に、ワイルドの「獄中記」の新訳を買おうと思ったのですが、すでに海外文学の棚は半分ぐらい整理されていてなかったので、新訳文庫の「ドリアン・グレイ」を買いました。

数日前には、神保町ワンダーで、バルザック人間喜劇コレクションの別巻2「全作品あらすじ」を買いました。これ一冊で小さなバルザック全集ともいえるすぐれた本。前からすごくほしかったのですが、新刊は高いし、古本は単独で見かけたことがありませんでした。手頃な値段でワンダーに出ていたので、1日だけ悩んだあと、買いに行きました。少し読みましたが、とてもいいです。

昨日今日と、また、「風景をまきとる人」を読みました。自信が少し湧いてきました。やはり、できるかぎりがんばったし、この作品で言おうと思ったことは言い切れていると思いました。年末にここで読んでくださった方もいらっしゃると思いますが、電子でも、本の形で読むのはまた違うと思います。ぜひキンドル版で再読してもらえれば、と思います。また、版元の彩図社さんが、文庫の在庫を安く出してくださっているので、紙がよければそちらで読んでいただければと思います。細かい部分には200カ所近く手を入れたので、文庫のほうは「初稿」とでも名付けたいとこですが、作品の印象としてはなにも変わらないはずです。なんとかこれからも死ぬまで書き続けていきたいと思います。
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生活と意見 (第762回)

2022-05-01 18:02:29 | Weblog
5月1日

とうとう村上春樹訳「最後の大君」(中央公論新社)が出ました。真ん中ぐらいまで読みました。やはり、いいですね。ただ、20年秋に出た作品社のものもとてもいいので、初めて読む人はどちらでもいい、と感じます(底本がちょっと違うのですが、詳しくは両書の解説を見てください)。なんにしてもフィッツジェラルドの作品では一番好きといっていいこの小説が村上訳を得て、少なくとも日本では再評価の極に到達したという感じがとてもうれしいです。体調があまりよくなくて更新がとぎれとぎれになってすみません。
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