麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第621回)

2018-09-30 21:17:22 | Weblog
9月30日

短編集をKindle本として出したいのですが、目次のつくり方がわからず頓挫しています。「風景をまきとる人」は、ずっとひとつの物語なので、いずれにしても頭から読み進んでもらうしかなく、また章にも題名があるわけではないので、目次の必要を感じませんでした。でも、短編集を出すからには、やはり、読んでくれる方が気に入った物語にいつでもぱっと飛んでいけるようにしたい――じじいのやることなのでもう少し時間がかかりそうです。

岩波文庫から三島由紀夫の紀行文集が出ましたね。岩波文庫に三島由紀夫が入っているなんて、不思議な感じです。手に取っただけでまだ買ってはいませんが、そのうち買うと思います。

ホーソーンの「七破風の屋敷」を半分まで読みました。この、しつこいとも言える書き方、癖になりますね。
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生活と意見 (第620回)

2018-09-23 00:01:13 | Weblog
9月23日

まだ書いていなかったこと。

女性の観察力はすぐれている。それは腕力がないからだ。腕力のない生き物は、常にまわりを観察する必要がある。近くにいる誰かが突然自分を襲ってきたらどうするか。すぐに逃げ出すために、その危険な兆候をいち早くつかむには観察力がなければならない。反対に、腕力のある生き物は、獲物を狙うとき以外は多少ぼんやりしていてもかまわない。誰かが襲ってきたとしても、気がついたところで一撃、殴り殺せばいいのだから。
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生活と意見 (第619回)

2018-09-02 16:26:57 | Weblog
9月2日

この2週間、ホーソーンの「緋文字」を読んでいました。基本、15年ぐらい前に買った、旺文社文庫の刈田元司訳で、時々角川文庫と古典新訳文庫を参照しながら。テーマはシンプルでいいと思いましたが、なにしろ長い。とてつもなくていねいに書き込んであって、正直、「そのことはもうわかったよ」といいたくなったことも二度や三度ではありません。個人的にいちばん好きなのは、前書きともいえる「税関」です。作者が生活のために本意ではない仕事に就き、どれほど苦しんだか。創作の時間がとれずに、少ししかない自分の才能が枯れていくのを感じるのはどんなに悲しかったか。その告白に感動しました。もちろんホーソーンの才能は少しどころではなく、本作を中心に不朽の作品を持つことができ、文学者としての生涯は結果としてはすばらしかったわけですが、「税関」を書いていた時点では、そのマイナスの感情は真実に近かったと感じます。――ところでなぜホーソーンを読もうと思ったか。それは、ご存知のように、メルヴィルが「白鯨」をこの先輩作家に捧げているからです。しかし、いままでメルヴィルの本の、どんな解説を読んでも、ホーソーンがメルヴィルをすごく買っていたという印象はありません。今回「緋文字」を読んで、その関係も理解できるように思いました。ホーソーンはどちらかといえば病弱なインテリで、メルヴィルはたくましい海の男。ホーソーンにはこの後輩が、まるでヘスター・プリンを乗せて自由に向かって漕ぎ出そうとしていた船長のように、昔の海賊めいた、無骨な、それなのに文学好きな変わり者のように感じられたのではないか。――そこにはまたメルヴィルの悲哀があると思いますが、ここからは自分の心の中で考えたいと思います。
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