麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第550回)

2017-01-22 23:10:03 | Weblog
1月22日

座って書く、というのが、まだちょっとしんどい感じです。たぶん、原因は老いだと思います。寒くて調子が悪い。それだけでしょう。――ずっと万葉集の世界にいるからでしょうか。突然アメリカ人の血が騒いで――純粋な日本人ですが――サリンジャーを読んでいました。「買っておけばいつか読むだろう」と思ってかなり前に格安で手に入れた東京白川書院版のサリンジャー作品集全6巻です。荒地出版版とは訳者も違い、本の体裁も違います(こちらはソフトカバー)。なにより、荒地版には入っていない「シーモア 序論(序章)」が入っていて、ライ麦と合わせると、これでサリンジャーの全集になるというのがいいところ。ナイン・ストーリーズやフラニー、ズ(ゾ)ーイーなどは、野崎訳に慣れ親しんでいるのでそのほうがいいとして、初期作品の2冊などは荒地版よりはるかに読みやすいです。第1巻の「若者たち」収録の短編を読んでいると、どうやって作者の頭の中にシーモアが形作られていったのか、その過程がちょっとわかるような気がします(最初に荒地版で読んだ二十歳のころは全部「古い話だな」としか感じませんでした)。そんなこんなでサリンジャー関連の蔵書(ライ麦はハードカバーと新書。また、野崎訳で文庫になっているものも、全部単行本でも持っていたりします)を本棚から出してながめていたのですが、柴田元幸訳のナイン・ストーリーズの奥付を見てびっくり。3年ぐらい前に出たと感じていたのに発行日は2009年3月です。なんと8年前……。ここからその感覚で8年経ったらもはや生きているかどうかわかりません。ほんとうにあと少しですね。それは毎日のように感じています。
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