麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第236回)

2010-08-14 08:45:07 | Weblog
8月14日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

かなりひさしぶりの2日続きの休みです。
それでも昨日急に事情が変わって、ただ休んでいるわけにはいかなくなりました。



以前三島由紀夫のことを書いたときに間違いがありました。
「鏡子の家」を「鏡子の部屋」と書きました。申し訳ありません。



「白痴」第3部上、読みました。
どの箇所でということはいいたくないけど、ボロボロに泣きました。
しかし、何度読んでもイッポリートの「弁明」は長いですね。「白痴」のテーマのひとつは、「死刑論」で、少年のまま病死しようとしているイッポリートは死刑囚の象徴でもあり、大事なキャラなのですが、それにしても長い。ナスターシャの顔を忘れそうです。



笑ってしまいますが、生まれて初めて「若きウェルテルの悩み」を読んでいます。今第2部に入りました。すごく、いい。ゲーテってやっぱりすごい。24歳でこんなものが書けたら、そりゃあ天才ですね。

「ファウスト」は高校1年のとき読みました。第2部は、大学生になって読み返すまでさっぱりわかりませんでしたが、第1部は最初からとてもおもしろかった。「ウ(ヴ)ィルヘルムマイスターの徒弟(修業)時代」も好きです。「ウェルテル」も、高校時代から何度も読みかけました。高橋健二(?)訳、井上正蔵訳、柴田翔訳などなど。どれも少し読むと退屈して先に進むのがいやになりました。「一生縁がないな」と思ってきました。

ところが、つい先日、神保町の東京堂書店の別館のほうの古本コーナーに、見たこともない「ウェルテル」の文庫を発見。いまはなき社会思想社の昭和37年発行の現代教養文庫で、訳者は「世界の大思想」シリーズの「ツァラトゥストラ」やショーペンハウアーの翻訳もある秋山英夫氏。元の定価は100円。それを680円で売っていたのを、ただめずらしさだけで買ってきました。ルノアールの「本を読む少女」がカバーで(最近ルノアールも好きなのですが)、裏の新刊案内には「ペンフレンド入門」なる書名が。ペンフレンドって……。まあなんせ私が3歳のときの本ですから。日本は平和だったのですね。

しばらく、ただ買ったまま放置していたのですが、3日前、寝る前にちょっと読み始めたら、最初のあたりの風景の描写が妙に心にしみてきて、手放せなくなりました。いままで「たんなる熱血バカ」みたいに感じていた主人公が実はとても醒めたところもある複雑な青年で、ただの恋愛小説でもないことがようやくわかってきました。もはやくたばる手前で遅すぎるけど。すみません。

自分を突き放して見ることもできるし、「あったことそのままを書いている」ように見せて巧妙に伏線を敷いたり効果を測ったりしている。ただの作り話なら簡単ですが、自分の体験をもとにしながら、こんなこと、24歳の誰にできるでしょう。



続きを読みます。



では、また来週。
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