鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

横須賀市長選がもたらした自民党自壊への道

2009-06-30 | Weblog
 28日行われた神奈川県横須賀市長選に無党派の新人、吉田雄人氏が初当選したことが中央政界に大きな激震をもたらしている。前市長で自公のみならず民主党推薦の蒲谷亮一氏を破ったこともさることながら、横須賀は小泉純一郎元首相のお膝元で、だれもが現職が負けるとは予想していなかったからだ。既成政党ではない無党派層による革命ともいっていい出来事で、これまで選挙通を自認してきた政治プロの顔色をなきものにさせている。
 吉田雄人氏は33歳の前横須賀市議で、36年続いてきた旧自治省官僚出身者による市政を市民のもの取り戻すべく、オバマ米大統領ばりに「チェンジ」を呼び掛けてきたのが奏功して、投票率を前回より5.03%高い45.22%に押し上げた結果、蒲谷氏に4481票差をつけ、6万8628票を獲得して初当選した。既成の政党にはあきたらない無党派層の市民が勝利した、ともいえる。
 これで吉田氏は全国で3番目に若い市長となったが、この結果に一番驚いているのは小泉元首相だろう。自らの選挙でも地元には来ないのに、4回も蒲谷候補の応援演説にかけつけたにもかかわらず、負けてしまったのだから、そのショックは測り知れないものがある。来る総選挙では子息の進次郎氏に地盤を譲り渡すことに決めているが、この春に突如湧きあがった世襲制限の問題もなんとかクリアーしたのに、今度は思わぬ無党派層の逆襲が待っていたのだ。前回の05年9月の総選挙では自ら作り出した郵政民営化ブームに乗ってライバルの民主党候補に15万票もの大差をつけて圧勝したが、今度の総選挙ではこの横須賀市と三浦市の神奈川11区では苦戦を強いられるかもしれない、と思ってしることだろう。
 小泉首相よりさらに困惑しているのが麻生首相だろう。今月14日の千葉市長選で31歳の民主党推薦の熊谷俊人氏に敗れた際には次週の静岡知事選、そして12日の東京都議会選で巻き返しを図ればいい、と考えていたのが、今回の横須賀市長選で思ってもいなかった無党派層のパンチの直撃を食い、KO寸前となんってしまった。というのも日本郵政の社長問題でも頼みとする小泉元首相の意向を尊重して、西川善文社長の続投を決めてきたのに、その小泉元首相が市民から「ノー」を突き付けられたのだから、司令塔のコンパスがなくなってしまったも同然だからだ。
 当の小泉元首相は29日に一年生議員26人を集めた会合で「今度の選挙はいままで経験したことにないものになる。自民党が野党になってみ仕方がない」とまるで自らに利かせるように語った、という。もともと場当たり的に政治を行ってきた御仁だけに横須賀市長選のような予想しないことが起きるとどうしていいのかわからなくなるのも当然だろう。
 その同じことが僚友の麻生首相にも起きているようで、29日には「党役員、内閣改造人事を一部やる」と言い出し、党内の反発を受けてひっこめたり、修正したりしている。数日前に細田博之幹事長に「党役員人事をするとは言ったことはない」と言明したばかりで、またまた腰の定まらないところを露呈した。30付けの毎日新聞朝刊には先日衆院選出馬を要請した東国原宮崎県知事に東京比例1位をオッファーする、との記事が掲載された。
 そんな状況に業を煮やしてか、中川秀直元幹事長が29日再びかねての持論である「麻生首相は自ら退陣すべきだ」と語り、事実上の総裁選出馬宣言を行った。ここまでくると、もはや自民党は司令塔なき無政府状態に陥っているとしか思えなくなってくる。自民党は総選挙を前に自壊現象を起こしているようだ。
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