鈍想愚感

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津久井やまゆり園裁判で心に響いた美帆さんの母親の「勝手に奪っていい命などひとつもない」との訴え

2020-02-18 | Weblog

 17日に横浜地裁で3年前に神奈川県の障害者施設「津久井やまゆり園」で利用者19人を殺害し、職員を含む26人に重軽傷を負わせ、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告に対する裁判で、検察側は「社会を震撼させ、障害者や家族、施設職員に大きな不安を与えた。このような犯罪が決して許されないことを社会に毅然と示す必要がある」などとして死刑を求刑した。また、検察側は利用者43人が夜中に突然、首などを刺されたことから「単独犯が犯した殺人としては類を見ない多さで、被害者の苦痛は筆舌に尽くし難い」と指摘し、被告の「意思疎通のできない障害者は殺した方がいい」という動機について「被害者の権利を尊重する社会の価値観と相いれない」うえ、「遺族や被害者家族の感情を踏みにじっており、更生可能性も皆無だ」と批判した。

 全くその通りで、植松被告の罪は重いの一語に尽きる。そのことを報じたニュースのなかで、論告に先立ち、事件で殺害された美帆さん(当時19歳)の母親が「家族、美帆を愛してくれた周りの人たちは皆、殺された。未来をすべて奪われた。美帆を返して」と心情を述べたのが聞く人の心を強くうった。彼女は「美帆が人生のすべて」で、自閉症やてんかんがあった美帆さんを育てる中で、「自身も待つことの大切さ、思いやりなども教わった。美帆は私の娘であり、先生でもあった」と語った。事件後、社交的だった美帆さんの祖母は誰とも話さなくなり、兄は体調を崩して入院し、仕事を辞めた。母親も食べ物の味がわからなくなり、9キロも痩せた、という。「私たち家族は当たり前にしてきたことが何ひとつできなくなった」という。

 そして彼女は植松被告に対し「勝手に奪っていい命などひとつもない。だれからも教えてもらわなかったのか」と尋ねたうえで、「なんてかわいそう、なんて不幸な環境にいたのか。あなたが不幸をつくる、生きている価値のない人間だ」と述べ、「私の娘はたまたま障害を持って生まれてきただけで、何も悪くありません」、「あなたが憎くて、憎くてたまりません。極刑でも軽い、絶対に許さない」と被害者の家族が一様に思っている思いのたけを述べ、おそらく傍聴席の涙を誘ったことだろう。

 これを植松被告がどんな気持ちで聞いたのか、傍聴席にはいなかったので、わからないがおそらく動揺の気配は見せなかったことだろう。美帆さんの母親は「仮にあなたが今回の余蘊い夜中に理不尽な理由で殺されてしまったら、あなたのご両親はどう思うか考えたことがあるのか」と植松被告に迫ってみてもよかったのではないだろうか。とも思った。

 裁判は今後、弁護側が植松被告は大麻の影響を理由に無罪を主張して19日に結審し、3月16日に判決となるが、美帆さんの母親の極刑をとの願いを入れて、死刑とするのが妥当なところだろう。

追記(3月31日)判決後、植松聖被告の弁護人は高裁へ上訴したが、被告はそれを取り下げ、控訴期限の30日午後24時を以て死刑判決が確定した。それを聞いた被害者の60歳の女性の弟さんが「これですべて終わった」と残念そうに語った、という。弟さんは裁判で被告へいくつか質問したが、はかばかしい回答を得らえなかった。弟さんの胸を去来したものは寂寞以外の何物でもないだろう。察するにあまりある。弟さんは「植松聖の言うことを聞かなくて済む」とも語った、という。お姉さんへ追悼の気持ちを少しでも持ってもらいたかった思いが伝わらなかったのが無念なのだろう。

 

 

 

 

 


 

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