鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

自殺者が減少しているのは社会全体のケアが進んだから

2012-10-30 | Weblog
 先日、ある政治家が講演で、日本の自殺者が減っている、と話していた。どういう話の下りでそうした話になったのか、わからないが、どうせ自殺者が減っているのは政治がよくなったからだ、との我田引水の話なのだろう。で、少し気になったので、調べてみたら、確かにこのところの自殺者の数字は減っている。まだ、1年が終わったわけではないので、断定できないが、年間3万人を超えていた自殺者の数が3万人を切ることになりそうだ、という。
 警察庁の統計によると、ことし1-6月の自殺者は1万4154人で、前年同期比ー11.7%で、1871人も減っている。1998年以来、14年連続して年間の自殺者数は3万人を超えていたので、このペースでいくと、15年ぶりに3万人を切ることになる、という。これを男女別内訳でみると、男性が9920人、女性が4234人と圧倒的に男性が多い。生への執着が男性より女性のが強い、ということで、総じて女性の方が逞しいようだ。
 同じ警察庁の統計による23年の自殺者3万651人の自殺の理由を見てみると健康上の理由が47%、次いで経済・生活の問題20%、家庭の問題14%、勤務上の問題9%、男女問題4%、、学級問題1%などとなっており、圧倒的に健康上の理由が多くなっている。不治の病に罹り、悲観して自殺してしまうようである。もちろん、自殺に至るには様々な出来事なり、事象が重なっての上で、理由はひとつだけではないケースが多いので、一概には言えないが、警察庁が事情を聴取したうえで判断しているので、それなりの根拠がある、と見て差し支えないだろう。
 ということは自殺が減っている大きな理由として考えられるのは医学の進歩で、病気の回復が目に見えて向上しているからであろう。ひところ難病といわれた病がいまは簡単に手術できたり、以前なら1週間はかかった手術がほんお半日でできたりして、このところ高度先進医療技術の進歩は目覚ましい。それと、国なり、地方自治体、さらには各種NPO団体などで、市民に対する数々のケアが行き届くようになったことも自殺が減少することにつながっていることと思われる。政治が関与していないとはいわないが、困っている人や恵まれない人に対し、手を差し伸べることがいろいろな方法で行き届いてきたのだろう。特に昨年3月11日の東日本大震災で、社会全体にそうした機運が高まってきたことも大きな理由としてあげられよう。
 そてみると、日本はまだまだ捨てたものでもない、という気がしてくる。それでも世界水準から見ると人口10万人当たりの自殺者数は多いのかもしれない。せめて1万人を切ったら、そういうことがいえるようになるのかもしれない。
 
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