鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

十年一日のテレビの台風報道に物申す

2012-10-01 | Weblog
 台風17号が日本列島を去っていったようだ。1日の朝は台風一過の日本晴れで、昨夜のあの暴風雨は一体何だったのだ、と思わせるほどだ。午前7時現在、台風17号は襟裳岬の南100キロの地点を北東へ時速70キロで進んでおり、もう日本列島に被害をもたらさない、と言っていいだろう。この1週間、本州の東側をかすめていった台風18号と沖縄から日本列島を斜めに縦断していく台風17号のアベック台風で、一時は合流して一大台風として甚大な被害をもたらすのではないか、と危惧されたが、過ぎ去ってみればほぼ無事に通過していったのは不幸中の幸いだった。
 それにしても日本の台風報道はこれだけ観測技術が進歩したのに旧態依然たるもので、まず第一に進路予測がなっていない。当初、台風17号の進路予測は九州から瀬戸内海、近畿、中部、関東、東北、北海道と日本列島を斜めに縦断することとなっていた。台風の進路予測が始まって50年以上経つが、過去こんな進路を通った台風はない。台風は海の上を取っている場合は威力を増して暴風雨を巻き起こすが、一旦上陸するとにわかに勢力が衰え、スピードも極端に早くなる。まるで、海からはエネルギーをもらえるが、陸からはエネルギーを奪われるかのようだ。
 だから、一旦上陸しても海の方へと進路を取って、仮に九州に上陸しても日本海へ抜けていくのが通例だ。過去に台風が日本列島を斜めに縦断していくようなコースを取ったケースはないし陸上に留まっても熱帯低気圧になってしまうのが関の山だ。過去の台風をみれば、そんなことはわかりそうなものなのに、新聞・テレビのマスコミは気象庁の予測をそのまま報道しているにすぎない。実際の台風17号の進路は結局、九州どころかはるか東にあたる愛知県東部に上陸し、本州の中央部を北東に進み、仙台近くで太平洋側に出た。陸上部を通ったのは想定の3分の1以下に過ぎなかった。素人でも予測のつくことがどうして専門家集団で判断できないのだろうか。
 それと台風の報道となると、テレビ各社は決まって海岸近くの押し寄せる波を背景にビニール雨合羽を着てゴム帽子を被ったレポーターが風雨に打たれた姿で現地レポートする。そんな姿をさらさなくとも、風雨の激しさは画面でわかるのに、なぜ十年一日同じ構図のレポートをし続けるのか、不思議なことだ。テレビ各社に入社した新人の教育のために一回はこうした場面を経験する、というのが決まりになっているとしか思えない。
 そんなことより、台風予測の精度を上げることに力を注いでもらいたい。いまはコンピュータ技術の進歩で、気象予測の精度が格段に上がっている、と聞いている。インターネットを駆使して、もっと精密な気象予測ができる時代になった、と思うのだが、いざ台風を迎えるとどこも同じ内容のものしか流さないのはいかがなものか。
 気象予報士なる職業ができて、国家試験のようなものが始まって久しく、テレビ各社は資格を持ったタレントを使っているが、自らの予測を立てる予報士はほんの数えるほどしかいない。特に台風予測になると、みんな気象庁の予測に右へならえ、と一律な内容になってしまっているのが不思議である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする