鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

早くもメッキが剥げてきた石原新党

2012-10-29 | Weblog
 石原慎太郎東京都知事が新党立ち上げを表明してから4日経ったが、どうやら当初の衝撃が段々醒めてきたようだ。当初は新聞の号外が出るなど周囲は驚き、天地を揺るがすかのような印象があったが、このところの新聞、テレビの扱いも冷ややかなものに変わってきた。芥川賞作家であり、大臣経験者、しかも東京都知事として数々の実績をあげてきただけに国政でも豪腕を発揮するだろう、との読みだったが、あにはからんや実際に手を組んでいこう、となると二の足を踏む政党が多く、どうやら打ち上げたアドバルーンもしぼみかけている。
 当初から石原都知事の任期半ばでの新党立ち上げは責任放棄とみる向きも少なからずあった。2011年4月の都知事選も当初は引退を示唆していたのに子息の石原伸晃前幹事長の説得でやむなく出馬し、どちらかといえば義理で四選を果たしたきらいがあった。当選してからも東日本大震災後に都の水道が放射能汚染されているのを自ら飲んで心配ない、とパーフォーマンスしたり、真っ先に震災のガレキ処理を受け入れたり、尖閣諸島を都が購入する、と表明したりそれなりの存在感を示してはいたが、混迷する政局のなかで常に新党立ち上げが噂されていた。ただ、ここへきて子息の石原伸晃前幹事長が自民党総裁選に出馬し、平成の明智光秀といわれ、あえなく敗戦するに及んで、時はよしと新党立ち上げを表明した。
 これに早速、たちあがれ日本党が石原都知事を代表に迎える、と応じ、橋下徹大阪市長率いる日本維新の会、みんなの党も合流して、第3局を形成するとの観測が流れたが、どうも消費税増税や原発廃止など政策面で必ずしも一致せず、どうも合流はしない方向となってきた。となると、単に石原新党といいながら、実態はたちあがれ日本の代表の座に座るだけのことで、いまの群小政党が割拠するなかの小さな風にとどまる公算が強くなってきた。たちあがれ日本には肝心の両子息の石原伸晃議員と石原宏高議員は参加しないようだし、他党からもほとんど参加する議員はなさそうである。
 こうなった原因はやはり任期半ばでの都知事辞任が責任を放棄したことが大きいのではなかろうか。新党立ち上げの最大の理由として石原氏がいげている官僚支配の打破というのも聞こえはいいが、中央官庁と地方自治体の役人とそれほど差はないのではなかろうか。特に中央官庁の役人だけを目の仇にするのも違和感がある。役人としては中央も地方も同じような人種に見える。東京都知事として都の役人の世話になっていながら、辞めて中央の役人を仇呼ばりするのも論理矛盾のような感じがしなくもない。
 それとやはり年齢の80歳というのが気になる。世界を見渡しても80歳で政治の第一線に立っている政治家は一人としていない。どうして日本だけが80歳の政治家に国の運命を委ねなくてはならないのか。世界の流れから逆行しているとしか思えない。新党立ちあげの記者会見の際、記者からの質問に答え、「どうしてこんな老人が頑張らなくていけないのか、若いきみらもっとしっかりせよ」と叫んでいる石原氏の姿が放映されていた。どういうやりとりでこうした言辞となったのか、よくわからないが年齢のハンディは本人が一番よく実感しているということがよくわかる局面だったことは間違いない。
 確かに日本の政治は混迷しているが、80歳のロートルを担ぎださなければ解決できないところまでは追い込まれていない、ということだろう。
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