とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

大谷康子・森ミドリ夢の共演「温もりのある響きを」

2009-09-19 15:20:43 | 社会人大学
昨夜は8回目の社会人大学があった。今回は、初めて女性の講師(演者)で会場もいつもの場所でなく、ミニコンサートが開けるホールで行われた。当初は女性二人の講演会と思いこんでいたのだが、ひょっとしたらと期待したとおり、有名な音楽家である二人の共演コンサートであった。

一人は、ヴァイオリニストの大谷康子さん、そしてもう一人は、音楽家でもありエッセイストでもある森ミドリさんだった。二人の略歴を紹介しておこう。

大谷康子さん
全日本学生音楽コンクール全国第1位。シェリング来日記念コンクール第2位。
1988年、日本の女性ヴァイオリニストで初めて一夜に3曲(メンデルスゾーン、ストラヴィンスキー、ラロ)のヴァイオリン協奏曲を演奏し、大きな話題となる。1990年春には、ヨーロッパ4都市(ローマ、ウィーン、ベルリン、ケルン)でリサイタルを開き、好評を得る。日本各地でもリサイタルを開催。また、スロヴァキアフィル、東京フィル、新日本フィル、東京シティフィル、札幌交響楽団、名古屋フィル、大阪フィル、関西フィル、九州交響楽団などとの共演のほか、海外へ招かれての演奏、テレビ「題名のない音楽会」をはじめ多岐にわたる分野のメディアへの出演、さらに室内楽、現代音楽の分野にも力を入れており、常にその意欲的な活躍は多くのファンから支持を得ている。東京シティフィルの首席コンサートマスターを経て1995年、東京交響楽団コンサートマスターに就任し、現在はソロ・コンサートマスターを務める。

森ミドリさん
愛知県名古屋市生まれ。芸大在学中からテレビやラジオに出演し注目を集める。またビクターの電子オルガン「ビクトロン」の演奏でも知られた。リクエストを受けた曲にすぐさまアレンジを加えて演奏する腕前は作曲家ならではであった。ビクトロン以後もピアノによる即興演奏を続けていた森だが、チェレスタとの出会いによって、この楽器をソロで扱うことを思い立ち、チェレスタによるソロ演奏を始める。現在は、テレビやエッセイ執筆などに加え、チェレスタによる即興演奏や、画家の安野光雅とのコラボレーション(安野の絵と詩、森の作曲による絵本や、安野の詩による東北大学OB合唱団のための合唱曲連作)など作曲家・チェレスタ演奏家としての活動も積極的に行っている。

クラシックのコンサートというと、話はほとんどないような気がするのだが、大谷さんはこの社会人大学には毎年来ていただいており、アットホームな雰囲気がいいということもあって、演奏の合間には森さんとのトークを交え楽しく進行していった。大谷さんのヴァイオリンは300年以上も前に作られたものらしい。ステージから2列目でもう目と鼻の先くらいで音が響いてくる。こんな間近でプロの演奏を聞けることなど、なかなかないものだ。ヴァイオリンの音色が頭にしみわたった。ここで、演目を紹介してみよう。

①中野稔/無伴奏ヴァイオリン作品 ヴァイオリン:大谷康子
②バッハ/無伴奏ヴァイオリン作品 ヴァイオリン:大谷康子
③エルガー/愛の挨拶       ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:森ミドリ
④森ミドリ/「津和野」より    
      ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ・チェレスタ:森ミドリ

「津和野」という作品は、島根県の津和野をテーマに、誰もが懐かしく感じる日本の風景を描いた心あたたまる混声四部合唱作品で、今回はその中の数曲を詩なしで演奏した。

さて、森さんが演奏するチェレスタという楽器は、セレステとも呼び“天使のような”という意味があるそうだ。一見するとオルガンのようだが、音はまったく違い、独特のよくとおる愛らしい音色を奏でる楽器である。誕生は意外に遅く、1886年、フランスのビクトール・ミュステルが発明。内側に鉄琴に似た金属板が並んでいて、それをハンマーで叩いて音を出すという仕組みで、いわば鍵盤アクションを持つ打楽器であり、鍵盤楽器に分類される。はじめて見た楽器であり物珍しかった。しかも、森さんの凄いところは、即興でどんなテーマでも曲にしてしまう能力である。今回は、観客のリクエストで大谷さんの着ていたドレスに因んだ「黄色いドレス」というテーマを即興で演奏してくれた。黄色のイメージに合った優しい曲に大谷さんも大喜びだった。

⑤新実徳英/鳥のシシリアーノ
     ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:森ミドリ
⑥新実徳英/秋の紅 
     ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:森ミドリ
⑦新実徳英/黒のラ・フォリア
     ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:森ミドリ

⑥と⑦の曲は女子フィギュアスケート世界選手権で、スイスのサラ・マイヤー選手がショート・プログラムに使った曲である。本人が気に入って自ら日本から取り寄せたということで大谷さんは感激したそうである。

⑧チャイコフスキー/『くるみ割人形』より「こんぺい糖の踊り」
     ヴァイオリン:大谷康子、チェレスタ:森ミドリ

この曲はチェレスタの音色が見事にマッチしている。この曲を聴けばチェレスタの音色がわかるだろう。

⑨アラール/『椿姫ファンタジー』より「乾杯の歌」 
     ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:森ミドリ
アンコール チャルダッシュ/モンティ     ヴァイオリン:大谷康子

アンコール曲は、大谷さんがステージを下り、客席を演奏しながらぐるっと回ってくれた。この曲も女子フィギュアスケートの浅田真央ちゃんが2006-2007年シーズンのフリーで使った曲でもある。聞き覚えのある曲だと思ったが曲名を聞いて納得だった。楽器を演奏するにおいて、譜面どおりに正確に行うことは凄いが、それだけでは観客の心を打つことは出来ない。心をこめて演奏した曲のほうが、譜面とすこしずれても喜ばれるという。大谷さんは、そんなことから譜面どおりではなく、個性的な演奏を心がけているそうだ。クラシックコンサートなんて今まで行ったことなかったが、新しいジャンルを一つ開拓できた気がする。


(コンサート終了後、大谷康子さん、森ミドリさんと一緒に写真を撮ってもらう/photo:Hさん)

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2 コメント

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社会人大学 (見切り)
2009-09-20 08:34:02
ふふふ~
とっちーさん しっかり記念写真撮っておられますね (*^_^*)

クラシックの生演奏まであるとは ジャンルが多岐にわたる本当によく考えられた講座でしたね、羨ましいです。社会人大学と言う名にふさわしいですね。

わたしも先日ミニコンサートに行きました、バイオリン チェロ ピアノでしたが
エドガー「愛の挨拶」も 演目にありました。
たまには クラシックの生演奏も良いですよね~
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見切りさんへ (とっちー)
2009-09-21 14:41:52
はははー。私もミーハーで記念写真を撮るといったら直ぐに入ってました。

クラシックはあまりよく判らないのですが、聴いてみると何処かで聴いたことがあるという曲が多いですね。名曲は至るところで流れているわけです。
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