とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

2019大峰山(八経ヶ岳)

2019-07-08 22:34:29 | 山登り
7月7日の七夕の日、奈良県天川村から日本百名山の大峰山の八経ヶ岳に登ってきた。八経ヶ岳は、大峰山脈の主峰であり、奈良県および近畿地方の最高峰である。山名は、役行者が法華経八巻を埋納したと伝わることによるが、仏経ヶ岳とも八剣山とも呼ばれるという。

このところの不安定な天気で、直前まで行けるかどうか危ぶんでいたが、曇りから晴れに変わるという天気予報を信じて、道の駅吉野路黒滝で車中泊をする。向かっているときには、月や星が見えたのだが、明け方急に雨に降られた。それでも、直ぐに上がるだろうと、道の駅を出て、登山口である行者還トンネル西側駐車場に向かう。

7時過ぎ、行者還トンネル西側駐車場に到着する。この時点で、すでに駐車場は九割がた埋まっていた。ギリギリ止めることが出来たが、8時では満車になっていたかもしれない。


八経ヶ岳は、11年前の同じ時期に初めて登ったが、その時は、こんなに駐車場は整備されておらず、無料で止められた。やはり百名山という事と、この時期にしか見られないオオヤマレンゲを見るために多くの登山者が集まってきていたようだ。トイレも有料で使うことが出来る。


八経ヶ岳への登山道の一部は、「大峯奥駈道」と呼ばれる吉野と熊野を結ぶ大峯山を縦走する修験道の修行の道でもある。大峯奥駈道と八経ヶ岳の原始林は、ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』に登録されている。世界遺産の看板の前から出発だ。


橋の入り口で登山届を提出して登山道に入る。今回のメンバーは、総勢8人となった。


雨は小降りとなり沢に架かる木橋を渡る。


1時間ほどは、急勾配の道を登っていく。奥駈道出合を過ぎるとなだらかな尾根道となり、8:47弁天の森に到着する。辺りは白い霧に包まれ幻想的な風景だ。


霧に包まれた森の中を進む。


9:25。聖宝ノ宿跡に到着する。ここには、大峰奥駈道を開いた理源大師の青銅の像が置かれている。像をよく見ると、いくつかのパーツに分かれていることがわかり、何人かでパーツごとに運んだものと思われるが、それでも一つ一つは凄い重量だったに違いない。紀伊の奥深い山の中で、穏やかな理源大師の顔を見ると何故か心が安らぐ。


聖宝ノ宿跡から30分ほど歩くと、目の前に長い木段が見えてきた。どこまで続いているのかわからないくらい長そうだ。


雨に濡れた木段は、滑りやすいので慎重に一歩一歩進んでいく。


10:22。弥山小屋に到着する。お腹が空いてきたので、小屋の前のテーブルで早いランチとする。まだ八経ヶ岳山頂アタックが残っているので、Nさんが持ってきたソーメンと手持ちのおにぎりなどで簡単に済ませる。


小屋は弥山山頂にあるので、弥山1895mにはすでに登頂だ。


弥山小屋から5分ほど歩くと弥山神社があり、参拝していくことにする。入り口の鳥居前には、皇太子殿下行啓記念の碑が建っている。現在の天皇陛下が皇太子時代にここにも来られたという事だ。


弥山神社は、天河神社の奥宮となる。ここは、「高野」「吉野」「熊野」という、大和三大霊場の中心核となる聖地である。修験道の開祖・役小角(えんのおづの)が弥山で祈願し、天降る天女を感じ、日本で初めて「弁財天」を祀った聖域とされ、修験者たちにとって「人間が達しうる水平的な奥の極点」となる聖地であり、心が平らな状態、その奥にあるのが弥山だという。


弥山山頂付近は、白く立ち枯れた樹々が折り重なりあい、荒涼とした風景だ。他の山とは、雰囲気が違い、聖域と言われるのも頷けるような感じがする。


小屋に戻り、改めて八経ヶ岳山頂を目指し歩き始める。登山道の脇は、ふかふかの苔の絨毯で覆われている。


バイケイソウの群落。数週間先には、白い花が咲き、ちょっと見ごたえがあるかもしれない。ただ、毒を持っているので、鹿に食べられることなく群落が広がっているのだろう。


草むらの中に張り巡らされたクモの巣に水滴がくっつき、面白い模様になっている。


バイケイソウの群落を過ぎると、オオヤマレンゲの群生地となる。オオヤマレンゲは、モクレン科モクレン属に分類される落葉広葉樹で、大峰山に自生していて、ハスの花(蓮華)に似た白い花を咲かせることに由来する。鹿の増加により群落が衰退していくことを防ぐために群生地全体は柵で覆われている。


柵を開けてオオヤマレンゲの群生地に入っていく。


オオヤマレンゲは、梅雨時の7月上旬の10日間ほどしか見ることが出来ない。この時期のこの場所でしか見られない貴重な花である。国の天然記念物であると共に、世界遺産リストにも加えられおり、今回もオオヤマレンゲに出会えることが出来て良かった。




オオヤマレンゲは森の貴婦人とも言われるくらいで、いい香りがして、つぼみも花も気品を感じさせてくれる。


オオヤマレンゲの群生地を過ぎ、さらに一登りしていくと大きな錫杖が見えた。11:30。八経ヶ岳山頂1915mに到着する。


山頂からの景色は全く見えず、真っ白い霧の中だった。


山頂記念写真を撮ると、元来た道を下り、弥山小屋まで戻る。小屋前で、小休止。周りでも多くの登山者が休憩していた。


小屋からは、ほとんど休憩もしないで一気に下山する。下りも長くて嫌になりそうだったが、2時間半ほどで下山。14:43。登山口に無事到着する。


梅雨時で、登山道は泥濘、靴やズボンの裾は泥だらけとなっていた。ありがたいことに駐車場の奥に靴・杖洗い場があり汚れた靴を洗うことが出来た。


下山後は、道の駅吉野路黒滝近くの黒滝の湯に立ち寄ってから帰路に着いた。梅雨時の登山は、天気の良い日を選ぶことは難しい。今回も、決行するか直前まで大いに悩んだが、大雨には降られず、目当てのオオヤマレンゲをみんなに見てもらうことと百名山の一つを登頂してもらうことが出来て良かった。

参考1.今回のコースマップ


参考2.今回の高低図