とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画「春を背負って」

2014-06-14 19:18:51 | 映画


(ストーリー)
長嶺亨(松山ケンイチ)のもとに、雄大な自然が広がる富山県立山連峰で山小屋『菫小屋』を営む父(小林薫)が亡くなったとの知らせが入る。亨は厳しい父から遠ざかるかのように東京で金融会社に勤めていた。帰郷すると、気丈に振る舞う母や沈痛な面持ちの山の仲間たちに交じって、一人見慣れない女性がいた。その女性は高澤愛(蒼井優)といって、遭難しかかっていたところを父に助けられたことがあった。父の思いを知り、亨は『菫小屋』を継ぐことを決心する。山での営業は想像以上に難しく四苦八苦していたところ、父の友人というゴロさん(豊川悦司)が現れる。世界を旅してきたゴロさんの自然に向かうスタンスや愛の屈託のない笑顔に触れながら、亨は自分の新たな道と向き合う……。


今日から公開の「春を背負って」を見に行ってきた。この映画は、笹本稜平の同名小説を、『劔岳 点の記』の木村大作が監督二作目に選んだ作品だ。原作では、奥秩父の山小屋が舞台であったが、木村監督は、自身がこだわりのある立山連峰に舞台を移し、撮影したという。この作品でも、主要キャストが60日間にわたり立山連峰での山岳ロケに挑んだということで、リアリティあふれる映像になっていた。

山小屋を経営する人たちの立場から描いた作品として、小屋番の苦労や厳しさ、大変さが良く分かる。しかし、それにも増して季節の移ろいとともに変わる美しい景観と、厳しい山の自然を肌で感じることが出来る。木村大作監督はカメラマン出身ということで、映像の拘りは素晴らしい。冒頭の菜の花畑や川沿いの桜が満開の映像は本当に美しい。小屋の近くには、とっておきの展望台の場所があるらしいが、一体何処になるのだろうか?舞台となった菫小屋は、大汝山の休憩所を山小屋に仕立てたそうだ。立山三山縦走した時に通ったはずだが、あまり良く覚えていなかった。もう一度、縦走する機会があれば、ロケ地巡りとして大汝山周辺をよく見てみたいものだ。

ストーリー的には、家族の愛や山を愛する人達の交流など、山小屋に泊まったことがある人には、共感するところが多く、自然体ですんなり見終わることができた。登場人物は、みんないい人すぎて、物足らないという人もいるかもしれないが、山の良さを伝えるといった点では、監督の思いれがうまく描かれていたのではと思う。

ただ、ラストの亨と愛のシーンは、それまでの自然に人間が溶け込んでいたような映像の拘りとは違う演出でビックリ。最後もシンプルにまとめたほうが良かったような気がしないでもない。もっとも、蒼井優扮する愛の笑顔は、やっぱり可愛い。