prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「白い馬」

2010年12月16日 | 映画
ナレーションがついているのは「赤い風船」を見た後だと余計な感じ。
子供が馬に引きずられたり、火のついた草原を走ったり、馬にしがみついたまま海に入っていったりと、相当に危険な撮影が目につく。今だったら、許可が出ないか、動物・子供の虐待とみなされるのではないかと思うくらい。
アルベール・ラモリスは撮影中の事故で亡くなったのを知っていて見るから、なおさら気になるのかもしれない。
その分、画に力があるのも事実だけれど。
(☆☆☆★★★)


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白い馬(デジタル・リマスター版) - goo 映画

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「赤い風船」

2010年12月15日 | 映画
映画史上最高の映画詩。
それにしても、風船をどうやって操っているのだろう。テグスでひっぱっているのかどうか、まるで犬か何かの生き物のような動きに驚嘆する。古いパリの街(これ自体魅力的)のくすんだ色の上に真っ赤な風船が浮かんでいる図のなんとも鮮烈なこと。
(☆☆☆☆)

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「レオニー」

2010年12月14日 | 映画
イサム・ノグチが生まれるまでの両親のいきさつと父親の母国日本に渡ってからの母の苦労話と、イサムが大成して彫刻を作っているところがイメージ風に挟まったりして、特に前半ちょっと時制を交錯させすぎではないかと思うが、要するにヒロインのレオニーが息子を生むところから描きたかったのだろう。
母親の苦労話というのは無条件で感動させられるものではある。

中村獅童がアメリカでは才能のある(エキゾチックな魅力もあっただろう)詩人だけれど日本ではどうしようもない自分勝手な男権主義者という役どころにイメージぴったり。彼の日本での別の妻子はまったく出していないのは思い切りいいが、ちょっと物足りない。
同様にイサムの父親の違う妹の、その父親が誰なのかかなり曖昧な描き方。ある程度は見当つくけれど、はっきりしないのも物足りない。

日本に来て何年も経つのに日本語をほとんど覚えないのは不思議な気がする。なぜアメリカに帰らないのかも、よく考えるとわからない。
要するにヒロインの「周囲」に興味を持っていないような描き方。

津田塾大学の創設者の津田梅子(原田美枝子)が役に立ちそうで立たないのに、あれと思う。結局、日本の女性差別的体質そのものはまるで変わっていないことになる。
(☆☆☆★)


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「武士の家計簿」

2010年12月13日 | 映画
横流しされた御助け米にどういうわけか視力検査に使うランドルト環そっくりの一部が欠けた黒い丸が描かれていて、その次のシーンで閉じた扇子を片目の前に立てて視力検査の格好をしているあたりや、堺雅人とその息子が家の中でも裃を着ているあたりは、森田芳光独特のデフォルメ感覚が出ているが、全体としては時代劇の型を重視した作り。

収入が多くならない状態でどうやりくりするか、というテーマはいかにも今日的。森田監督の前作「わたし出すわ」では調子よく収入が増える状態を描いていたのと、意識したのかどうか対になっている。
本当は入るのを増やすのと出るのを制するのと両立していないといけないのだが。
(☆☆☆★)


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「ロフト.」

2010年12月12日 | 映画

現在と過去と大過去が交錯する構成なのだけれど、警察にすでに捕まっている時点が現在になっているので捕まるかどうかというサスペンスはないし、探偵役というか謎解きをガイドする役目のキャラクターがいないから、場面のつなぎがかなり恣意的で引っ張っていく力が弱く、二時間は長く感じる。

どちらかというと秘密の隠れ家のロフトを共同で持った男たちのどうしようもない俗物ぶりを描くのが眼目になっている。
ベルギー製サスペンスとは珍しいが、男のしょうもなさは万国共通みたい。

舞台になる一方の角がやたらとんがった三角形の建物の形状がおもしろい。よく探してきたという感じ。
(☆☆☆)


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「母なる証明」

2010年12月11日 | 映画

オープニング、ゴルフ場のコースでひき逃げした金持ち連中を待ち伏せするのだが、なんでひき逃げした連中だと特定できたのだろう。他の客がいくらもいるだろうに。金持ちなら誰でもよかったというわけなのか。しかし目星をつけた相手が別に外れていないのだから、かえって不自然。
ここでひっかかったので、あと将棋倒しに乗りにくくなる。

とはいえ、オムニがどんどん息子のために視界狭窄的に行動をエスカレートさせていくあたりや、身体障害者の扱いが偽善的でないあたりは韓国映画がお得意とする怖さ。最近慣れてきたので、必ずしも驚かなくなってきたが。

「巡査まで『CSI』を見ているので、現場保存の精度が上がったなんてセリフがある。
ベンツのバックミラーを壊すのに飛び蹴りが出る。韓国映画だと喧嘩のシーンてよく飛び蹴りが出るけれど、なんでだろう。
(☆☆☆★)


「シャルロットとジュール」

2010年12月10日 | 映画
ゴダールが「勝手にしやがれ」の一年前1958年に撮った13分の短編。
コケティッシュな女が戻ってきたところに男(ジャン=ポール・ベルモンド)がえんえんと威張ったり説教したり寛容なふりをしたりして(長々としたセリフはベルモンドが兵役に行ってたのでゴダールが吹き替えたらしい)、結局女は歯ブラシを取りに戻ってきただけでしたというオチがつく。
ゴダールって人がいかに女にモテないか、がこの頃から丸わかり。世界的名声を博した今日でも、そこは変わらないと思う。

監督

* ジャン=リュック・ゴダール | Jean-Luc Godard

脚本/原案

* ジャン=リュック・ゴダール | Jean-Luc Godard

出演

* ジャン=ポール・ベルモンド | Jean-Paul Belmondo
* ジェラール・ブラン | Gérard Blain
* アン・コレット | Anne Collette
* ジャン=リュック・ゴダール | Jean-Luc Godard

制作

* ピエール・ブロンベルジェ | Pierre Braunberger

撮影

* マイケル・ラトゥーシュ | Michel Latouche

編集

* セシル・デキュシス | Cécile Decugis
* ジャン=リュック・ゴダール | Jean-Luc Godard

謝辞

* ジャン・コクトー | Jean Cocteau

「KG」

2010年12月09日 | 映画
KGというのはカラテガールの略ですか。
武田梨奈、飛松陽菜の二人の主演の女の子の空手の動きはしっかりしているけれども、いかんせんパワーは感じないので、大の男たちをああ一撃必殺といくのかなと見ていて疑問が湧く。変に色っぽく味付けしないのはよかった。

つっこみどころ満載のストーリーや細かいところのちゃちさは目をつぶるとして、最大の悪役が車椅子に乗っているので、クライマックスで実は五体満足でしたと立ち上がって襲いかかってくるのかと思ったら(昔の香港映画だったらそうしていただろう)、別にそういうわけではないのに拍子抜け。悪役の描写には力を入れないと。
(☆☆★★★)


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「KG」公式サイト

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「ディセント2」

2010年12月08日 | 映画

一作目を見ていないので、地底人が出てきたのにはびっくりした。
地底人が人の喉首を喰いちぎって血がびゅうびゅう出るわ、女たちが石で頭を砕き、ピッケルで崖につかまる爺さんの腕をぼろぼろになってちぎれて落ちるまで連打するわ、まあムチャクチャなスプラッタ描写が楽しい。

意味不明の展開やコケ脅しに目くじら立てることはないだろうけれど、暗い場面ばかりなのであまりメリハリが効かないのは困ります。血はよく見えるようにライトをたっぷり当てて撮れていたけれど。
(☆☆★★★)


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永遠のヒロイン その愛と素顔「私が愛される理由~キャサリン・ヘプバーン~」

2010年12月07日 | 映画
子供の時、兄が自殺していたいうのは初めて知った。女優としてのプロフィールで兄の誕生日を自分の誕生日と称していたという。どんな心境だったのか。
妻子あるスペンサー・トレイシーとの不倫は有名だが、彼が亡くなった時「強い独立した女」のイメージとは裏腹に表には一切出なかったという。彼の子供が障害者だったということもあるにせよ。番組では出てこなかったと思うがトレイシー夫人はその後障害者の支援活動を続けたという。

姪の女優のキャサリン・ホートンがインタビューに応えているが、キャサリン・ヘプバーンのフルネームはキャサリン・ホートン・ヘプバーンなのだからややこしい。

チャンネル :BShi
放送日 :2010年12月 4日(土)
放送時間 :午前11:30~午後1:00(90分)
ジャンル :ドキュメンタリー/教養>歴史・紀行
番組HP:-
番組内容
「永遠のヒロイン・その愛と素顔」。今回はアカデミー賞4回受賞、アメリカで最も偉大な女優とされるキャサリン・ヘプバーンが貫いた愛の形と毅然とした生き方を見つめる。
詳細
アカデミー賞4回受賞という前人未到の経歴を誇るキャサリン・ヘプバーン。アメリカで「最も偉大な女優」とされる一方、若いころから、わがまま、ごう慢と悪評がついてまわり、素顔はベールに包まれてきた。近年、その実像をかいま見ることができる、生前に残された書簡や文書が大量に公開された。それらをつぶさにひもとくと、キャサリン・ヘプバーンが貫いた「愛」の形、一人の女性としての、きぜんとした生き方が見えてくる。
出演者ほか
【語り】石澤典夫, 【朗読】夏木マリ

「ナイト&デイ 」

2010年12月06日 | 映画
アクション・コメディに属する映画だと思うのだが、アクション・シーンはともかく、コメディタッチの演出がてんで冴えない。もともとトム・クルーズは顔立ちがもっともらしすぎてなんとなく可笑しい感じがするのだが、それが生かせていない。
キャメロン・ディアスの役柄も芝居も新味なし。
(☆☆☆)


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「行きずりの街」

2010年12月05日 | 映画
お話をなぞっているだけで、まるで画面が弾まない。具体的な行動を克明に追って背景を水面下に隠しておくハードボイルド風の作りなのだが、その背景がいっこうに立ち上がってこない。

やっとアクション・シーンになったかと思うと、動かざること山の如しという感じの据えっぱなしのショットが多くて躍動感がないし、石橋蓮司が黒板に後頭部をぶつけて血の跡を残してずるずるとへたりこむので、黒板であんな大怪我するのか、と思っていたら、次のシーンではいつのまにか立って歩いていて、廊下に出て改めて倒れる。意味がわからない。
一事が万事、そんな調子。
(☆☆★★★)


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「ディア・ドクター 」

2010年12月04日 | 映画

過疎地域が舞台なので、住人の大半が老人。
鶴瓶扮するニセ医者がどの程度の腕なのかわからないが、ひどい言い方になるけれど亡くなってもあきらめがつくのでバレないで済んだ、という気もする。
ただ、そうはっきり描いているわけではない。見る側の想像に任せるところが多い描き方だけれど、思わせぶりではないかと思わせるところあり。鶴瓶のキャスティングが成功。善人顔だけれど、どこかつかみどころのない感じが生きた。
(☆☆☆★)



永遠のヒロイン その愛と素顔「わたしを演じる孤独~イングリッド・バーグマン~」

2010年12月03日 | 映画
十二歳で顔が完成しているのに一驚。
ハリウッドではアップを撮る時は必ず左側からだという。これから見る時には気をつけて見よう。

ロッセリーニとの不倫を追っかけたメディアが、どうしても写真を撮れないものだから合成写真を作って載せたというだからすごい。映画のスチルをさも実写のように見せかけて雑誌の表紙に使ったりと、今よりアモラルではないか。

「秋のソナタ」の企画を進めたのはベルイマンであるよりバーグマンの方で(同じ苗字のスウェーデン読みと英語読みなのだが)、なかなか腰を上げないのでカンヌでメモを渡して催促したという。

ベルイマン、バーグマンともに日本人の目から見るとえらい寂しい小さな島に別荘建てて住んでいたけれど、たまたまなのか、北欧の名士ではよくあることなのか。

「秋のソナタ」の撮影でバーグマンがことごとにベルイマンと対立したのだが、ベルイマンに言わせるとバーグマン自身に通じる設定やセリフに限って異議を唱えたのだが、バーグマン当人は納得できないセリフやキャラクターに異議を唱えていただけだという。

当時のスタッフのうち、撮影助手のカール・ニクヴィストという人が出る。撮影監督のスヴェン・ニクヴィストの息子か何かか。

ベルイマンの撮影では、電柱がジャマだとなると住人が率先して電柱を倒してくれたという。黒澤もジャマな建物を撤去したりしたけれど、頼んで費用を負担しなくてはいけなかったものね。映画の社会的地位の違いというか。

チャンネル :BShi
放送日 :2010年12月 4日(土)
放送時間 :午後2:30~午後4:00(90分)
ジャンル :ドキュメンタリー/教養>歴史・紀行
番組HP:-
番組内容
ハリウッドのはめる型を拒否し、自分らしい演技にこだわり続けたイングリッド・バーグマン。自らの人生と酷似した迫真の演技から、女優の性と親子の絆の狭間を見つめる。
詳細
イングリッド・バーグマンは、アメリカの大衆が望んだ“清純で賢く美しい”美徳のシンボルとは裏腹に、女優と して飛躍する度に恋に落ち、演技の輝きを増していった。ハリウッドが求める型を拒否し、自分らしい演技にこだわり続けた。「秋のソナタ」では、我が子を犠 牲に芸術に打ち込む、自らの人生と酷似した役を演じた。迫真の演技を、バーグマンの実の娘たちは、どう受け止めるのか。女優の性と親子のきずなのはざまを 見つめる。


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「100歳の少年と12通の手紙」

2010年12月02日 | 映画
白血病で死んでいく少年の話を見に行ってプロレスを見せられるとは思わなかった。

元プロレスラーで今は宅配ピザ屋をしている女性の目を通して少年の闘病を描いていて、女性の話の内容として突拍子もない見世物小屋的なプロレスの試合のイメージが繰り返し描かれる。リアルな回想ではなく、ホラ話のニュアンスが強い。
繰り返し手紙を風船に結びつけて空に飛ばすシーンなどと同様、かなりファンタスティックな描き方で「泣かせ」には流れないのはいいとして、これが少年を励ましている表現になるのだろうか、と戸惑う。

入院している他の子供たちも、火星人じみて頭が広がっている子とか、おそろしく肥満した子など、ちょっとフェリーニばりの描き方。
(☆☆☆)


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