prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アテナ」

2023年03月19日 | 映画
現代劇の方の「レ・ミゼラブル」の続きみたいなフランスの展開だと思ってたら共同製作脚本のラジ・リはまさにその「レ・ミゼラブル」の監督脚本でした。

監督のロマン・ガブラスはコスタ⋅ガブラスの息子で、父親は ギリシャ出身ながらフランスで映画を撮り始め「 Z」「 告白」「 戒厳令」 三部作で 独裁体制 を激しく批判する社会派としての地位を固め、 アメリカに渡り英語作品の 「ミッシング」でカンヌのパルムドールを受賞、コスモポリタンな社会派映画 人としては先駆的な人だが、 その息子はむしろここでは現代の外国人労働者の問題を兄弟のギリシャ悲劇的なアレンジをしたと出自に回帰するような発言をしている。 極端な長回しの連続もそういう狙いらしい。父親が特に三部作でソリッドな短いカッティングの冴えを見せた逆を行ったみたい。花火を武器としても祝祭のようにも使った華々しい演出が目を奪う。
ただ、あまりに長回しにこだわったせいか、終盤になるとダレる感もある。

驚異的な長回しは、昔の「トゥモロー・ワールド」の合成も併用した長回しを思わせて、機動隊と団地の住人達との激突は馬が登場することもあり現代の 話であると同時にどこか中世の戦闘のように見せることを狙ったという。
白馬と言ったら「ミッシング」で戒厳令が敷かれた街を一頭の白馬が駆け抜けてくという悪夢のような強烈な表現を思い出した。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。