prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「歓びの毒牙(きば)」

2014年09月04日 | 映画
ダリオ・アルジェントの監督デビュー作。

原作はフレドリック・ブラウンの「通り魔」、といってもタイトルに名前は出てこない。「荒野の用心棒」あたりに共通するイタリア映画らしい権利にアバウトな映画化ということらしい。

叙述トリックというのか、小説や映画といったフィクションが現実を映したものに見せかけて作者が組み立てた第二の現実であることを常に意識している批評性を、ブラウンの作品はたびたび見せてきた。
火星人来襲によるドタバタを描いているようで、実は主人公のSF作家が描いている小説そのものが「火星人ゴーホーム」という小説になっているのではないか、といった仕掛けや、読者が読み終えた瞬間に現実に背後に何者かが迫っているかのように思わせる「うしろを見るな」など。

それにどの程度影響を受けたのか、もともと好きなのか、アルジェントもしばしば叙述トリックを見せる。ここで冒頭何々されているように見えた人物が実は見方を変えるとまったく違うことをしていることがわかる仕掛けがそうだし、有名な「サスペリア2」の絵に見えたものが実はというトリック、「トラウマ」の首の扱い、などなど。

やはりオープニングでガラスに隔てられ惨劇が見えていても手を出せない無力感や、それが破れると一転して凶器になるといったガラスの使い方なども、後年の監督作につながっている。





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