prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「連合艦隊」

2012年09月07日 | 映画
1981年製作、若手が永島敏行、中井貴一、古手川祐子というのだから時代がわかります。
年配の出演者は故人になっている人が多い(鶴田浩二、小林桂樹、丹波哲郎、平田昭彦、三橋達也、藤田進など)のだが、映画の中ではもっぱら若者たちの方が死ぬ。

前年の東映の「二百三高地」の大ヒットを受けての製作だろう。ただ、笠原和夫脚本にあったような底辺の人間から天皇までを包括するようなパノラミックな視点に比べると、軍上層部と中産家庭ふたつといった堅い人たちに限られてるのは東宝製のせいか。
戦争や上層部に対する怨念といったものもそれほど強くなく、敗北や死を美的に表現する方に向いているのは毎度のこと。

日本の戦争映画は戦前・戦中の戦意発揚映画も含めて敵を憎憎しく描くことで日本の戦いの正しさを強調するということがあまりない。天皇についてもパスしています。
結局、戦争が天災みたいに描かれるのが常道で、これも典型。

代わりに前面に出るのはメカの魅力で、大和の20分の1のミニチュア(といっても13メートルを越える)の活躍ぶりが見もの。爆発の派手なことは中野正慶の趣味だろう。

日本の怪獣映画は戦争映画の代償行為と言われたりするが、戦争映画も怪獣映画と表裏一体みたいで、政治性は出そうで出ない。

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