prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ミッション:8ミニッツ」

2011年11月13日 | 映画
メインタイトルに撮影ドン・バージェスと出たので、ああ「マトリックス」シリーズの人ねと思っていたら、内容の方も「マトリックス」に近かった。

要するに脳内現実を人工的にコントロールすることで時間を遡ったり同じ体験を少しづつずらしながら何度も繰り返したりできるようになり、最終的には脳の外の現実も変えるに至る話で、時間の操作のあたりの発想はコリン・ウィルソンの「賢者の石」を思わせたりもする。

しかし、突き詰めれば脳内現実と現実の体験とは区別できないというのは本当には違いないが、それは当人の主観においてであって、一方で現実に体験していない、行ったこともない場所や会ったことのない人のことがわかるわけがないのも確かなので、どうにもむりやりな話としか思えず。単純にオカルト方面のテレパシーとか千里眼の話にしてもらった方がすんなりお話として乗れる。

主格二元論というか、主観と客観はどうすれば一致しうるかといった、脱線した哲学にありがちな不毛な議論に近いものがある。

それに、脳内の体験の時間の進行と現実時間の時間の進行とはまったく別物なのは夢の中の時間の進行のことを考えれば明白で(胡蝶の夢とか)、脳の外側の8分間と内側の8分とが一致しているのは変。

とはいえ、同じような場面を少しづつずらしながら重ねていく技法というのは、40年前以上前にはアラン・レネや吉田喜重などのアート・フィルムでしか使わなかったものなのが、娯楽映画のスキルのひとつにまでこなれてきているのがわかる。

すこし「ジョニーは戦場に行った」の匂いもする。もっとも、こういう具合に外の世界と意思を疎通できるのだったら、かなり楽だろうけれど。
(☆☆☆)

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